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 ■「山本ゆうじの翻訳道具箱」(その61)

英語で「日本」を説明する――「さっぱりした」は英語でなんていうの?

この11月に美術検定2級を受けてきました。検定では古今東西の美術の
知識が問われるのですが、ご存じのように日本から西洋への浮世絵、
ジャポニスムの紹介、そして逆に日本への西洋美術の受容という相互の
異文化交流は、非常に興味深いものがあります。また美術史を学んでい
ると、ばらばらであやふやだった知識の断片が、パズルのようにぴった
りはまりこんでゆくのが快感です。

ところが、英語で「日本」について説明するのは重要なことなのですが、
なかなか簡単ではありません。みなさんの中には、プライベートや仕事
で、外国人を案内する方や通訳をされる方もおられるでしょう。私も先
日、下北沢でドイツとフランスの友人をそれぞれ案内してきました。そ
んなとき、英語で日本の文化を説明できますか? ちょうど祭りが行わ
れていたのですが、「いき」「わび」「さび」とはなにか、それぞれ説
明できますか? 「さっぱりした」「すっきりした」は英語でなんと言
うでしょう。落語、浄瑠璃とはなんでしょうか? このような日本につ
いての事柄をきちんと自分の言葉で(英語で)説明できれば、自分自身
の知識も整理できます。日本は大きく変化してきましたし、これからも
変化するでしょうから「唯一絶対の日本的なもの」があるわけではない
ですし、そのような主張は不毛でしょう。ただ、異なる価値観を持つ人
に、新たな視点を紹介して少しでも理解してもらえれば、紹介するほう
もされたほうもうれしいものです。

NHKでは、”BEGIN Japanology”(総合テレビ)など英語で「日本」を
説明するコーナーがいろいろあります。
http://www.nhk.or.jp/nhkworld/english/tv/japanology/
全部英語なので気圧されるかもしれませんが、だまされたと思って観て
ください。今までにない見方を知ることができます。この番組は日本に
興味がある外国の人が見るだけでなく、日本人が日本を紹介するときも
役立ちます。もちろん英語の練習にも役立ちます。

NHK Worldの英語ニュースなども役立ちます。
http://www.nhk.or.jp/nhkworld/

内容は身近な日本の話題なので、やはり英語の聞き取り練習としても役
立ちます。NHKの英語ニュースはiTunesなどからポッドキャストとして
も視聴できます。以下の記事を参考にして、キーワード「NHK」で検索す
るとすぐに見つかります。すてきな声の日本人アナウンサーさんが英語
で読んでくれるので、親しみがわきます。
http://www.tsuhon.jp/levelup/levelup_29.html

NHKはずいぶんくだけてきましたが、海外のメディアと比べると良くも
悪くもまじめなようです。ユーモアなどを取り入れると、世界の人の日
本人に対する見方が変わってくるかもしれませんね。

さて、何かを紹介・説明するには「定義」が重要です。英語圏の教育で
は、定義はあらゆる学問の根本です。論述問題でも「~は何か説明しな
さい」というパターンがよくあります。事典や辞書でも、各項目につい
て過不足のない定義から始まり、その後に補足的な説明が続きます。残
念ながら、日本人はこの「定義」が苦手なことが多いようです。

ご存じWikipediaもまた、日本の事柄を英語で説明する際の参考になり
ます。日本語のページの左側から、英語など他の言語の記事を参照でき
ます。ただし、言語にかかわらず、Wikipediaにはまったくのでたらめ
がもっともらしく書かれていることがよくあるので、注意が必要です。
特に日本については、書き込む人が限定されており、偏った見方しか紹
介されていないこともあります。そんなときは、さまざまな視点を紹介
するために、率先して英語で書き込みをすると、英作文の練習にもなり
ます。だれかに何かを説明するというのは、自分がより良く理解するた
めの最良の手段です。

美術、建築、文学、映画などの文化を理解し、また他人に説明するとき
は、宗教の基礎知識が必要です。宗教について知るために信者になる必
要はありませんが、日本でも仏教、神道は美術や建築と深くかかわって
います。たとえば「密教」を英語で何というでしょうか?
またキリスト教の基礎知識があれば、比較対象として説明することがで
きます。このような知識は一夕一朝に身につくものではありませんので、
ふだんから関心を持つ必要があるかもしれません。冠婚葬祭、観光での
神社・寺院・教会の訪問など、ふだんは縁がなくても宗教について考え
る機会は意外とあるものです。特にこれから年末にかけてクリスマス、
除夜の鐘、初詣という、日本ではおなじみ(そして外国人には謎の)
3宗教(的)行事の季節です。英語でどう説明するか、ぜひ考えてみて
ください。
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 ■ 後 記

先日、東名高速上郷SAのトイレを利用したところ、一つの個室に「オ
ストメイト」という表示がありました。「オストメイト」とは人工肛門・
人工膀胱保有者のことを指すのですが、その看板を見たときにはどうい
う意味なのか理解できませんでした。ようやくわかったのはその個室の
設備を見てからのことでした。
で、このわかりづらいカタカナ語は何だ、と思いました。
しかし人工肛門を装着せざるを得ない方々の不自由さ、心労を考えると、
敢えて万人がわかるような表示にしていないのかという考えもよぎりま
した。
だが、こういうわかりづらい言葉を使っていたのではこの先も世間の無
理解、心ない対応をなくすことはできないのではないかとも思えます。

ともあれ、オストメイト対応トイレは全国の公共施設に増えているそう
です。こういったことによって、オストメイトの方々の外出への不安が
軽減されることを願う次第です。
                              (青)

 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二

◆仕事の始め方

●トライアル

前回、「経験者のトライアル」で経験者にトライアルを課すのは失礼だ
という考え方があるが、そのように考えるのは決して得ではないという
話を紹介しました。今回は、誰かの紹介でつながりができたときのトラ
イアルについて紹介します。

紹介においてもトライアルが問題となることがあります。紹介によって
実力は保証されているのだからトライアルがあるのはおかしいと考える
人がいるのです。

◎紹介とトライアルの有無

紹介だと、結果的にトライアルなしになることが多いのは確かです。で
も、「紹介だからトライアルなしにすべき」とはなりません。そんなに
単純な話ではないのです。いろいろなケースがあり、また、それぞれの
人にはそれぞれの立場があるからです。

ケースはいろいろといっても、「実力を見る方法はトライアルしかない」
ということの派生形です。ただ、それをどういう立場からどう考えるか
次第で、いろいろなパターンになりえます。

私自身、紹介を頼まれることがけっこうあるので、今までそれなりに多
くの人をあちこち、紹介してきました。その際は、実力を保証するよう
な書き方をすることもあれば、実力はそちらの基準で再確認してくれと
紹介することもあります。後者であれば、先方は基本的にトライアルを
しているはずですし、前者であってもトライアルをしているケースがあ
ってもおかしくないと思います(理由は後述のようにいろいろとありま
す)。

また、一時期、けっこういろいろな人に仕事をお願いしていた時期があ
りますが、そのときの紹介のされ方も、上記のように、2種類ありまし
た。また、実力を保証されても、保証した人の実力に私が不安を持って
いるため保証された人の実力も信用できないとして、トライアルをお願
いした場合もありました。もちろん、確認してくれと言われたときを含
め、ちょうど小さな仕事があったので、それをお願いしてトライアルが
わりにしたこともあります。

私がどこかのクライアントに紹介されたケースでも、トライアルなしの
こともあれば、トライアルありのこともありました。トライアルありだ
ったときは、「トライアルで実力を確認してくれ」という紹介だったの
かもしれないし、紹介してくれた人の実力に向こうが不安を持っていた
のかもしれません。それだけでなく、特に企業との直接取引など、担当
者が誰かから私を紹介されたが私に発注するためには上司の許可が必要、
というようなケースでトライアルをする形になることもあります。会社
の方針として必ずトライアルとなっていれば、ケースバイケースで対処
するわけにいかないでしょう。そういう会社でも社長など上の人が信頼
する人から紹介を受けたなどの場合にはトライアルなしになったりはし
ますが、例外があるなら自分に例外を適用しろと言えるものではありま
せん。

このように、主だったものだけあげてもいろいろなケースがあるわけで、
紹介であればトライアルをなしにすべきというのは無理があります。

◎善意で紹介してくれた人の顔をつぶす

ここまでは、先方や周囲の状況にもいろいろあるという、いわば消極的
な意味で、トライアルをしろと言われても仕方がないという理由でした。
今度はもう少し積極的な意味で、そういう場合にフレームメールを返し
たりすることはまずく、落ち着いた対応でトライアルを受けるなりにし
たほうがいいという理由をあげましょう。

紹介なのにトライアルを受けろとは、と怒ってしまうと、最悪の場合、
善意で紹介してくれた人の顔をつぶしてしまうおそれがあります。

紹介で話が動き始めたとき、関係者は、自分、自分を紹介してくれた人
(Aさんとする)、Aさんが自分を紹介してくれた発注元(B社とする)
の3者です。基本的に、自分とAさんとの間、AさんとB社との間は関
係が良好、自分とB社との間には特につながりがない、という状態のは
ずです。

この関係の中で、「トライアルをお願いしたい」とB社からの問い合わ
せがあったとき、それはおかしいと怒ったメールを返したり無視するな
どおかしな対応をすると、Aさんに迷惑をかけてしまうおそれがかなり
あります。

仮にAさんが私を「実力はそちらで確認してくれ」と紹介していたら……
上記の対応がまずいのは明らかですよね。

その他のケースでは、翻訳者の立場にたってものを考えてくれるだけの
分別がB社にあれば、あまり大きな問題にならないかもしれません。

翻訳者側が発注側の立場を斟酌しないのに(今回のケースでは、「先方
にはトライアルをしなければならない理由があるかもしれない」という
ことを斟酌しないのに)、相手にはこちらの立場を斟酌してもらうこと
を要求するのは、身勝手なんじゃないかと私は思いますが、その後の展
開として、相手次第で特に問題にならないのは事実でしょう。

それほどの分別がない場合、B社は多少なりとも腹をたてるでしょう。
無視したり怒ったりしたメールを送り返した私に対してはもちろんです
し、それは別にいいと思いますが(いいと思わなければ、無視もフレー
ムメールもないわけですから)、ひどい人を紹介してくれたとAさんに
対しても腹を立てるおそれがあります。しかも、Aさんが丁寧に推薦し
てくれていればいるほど、私の対応が悪かった場合にAさんへと累が及
ぶおそれが強くなります。「この人はこれこれこのように実力があるだ
けでなく、とてもいい人で、信頼できる人です」なんて私を紹介してく
れていたりしたら、目もあてられません。失礼な対応をする私を信頼す
るということは、Aさんも実はそういう人なのね、とか、少なくとも人
を見る目がないねと言われかねません。

Aさんが今までB社と築いてきたいい関係に傷を付けるおそれがある、
つまり、善意で私を紹介してくれたAさんの恩を仇で返すおそれがある
のなら……それを避けるため、丁寧な対応をするべきだと私は考えます。

もちろん、B社の対応があまりにひどいという場合もあるでしょう。

そういう場合でも、いや、そうであるならなおさら、丁寧な対応をすべ
きだと思います。ひどい対応をするということはB社に上記のような分
別がない証拠だと言えるでしょうし、それはとりもなおさず、私の対応
いかんでB社がAさんに対しても腹を立てる可能性が高いということで
すから。そんなB社でも、Aさんにとっては、それなりに良好な関係を
持っている取引先のはずであり、その関係に横から傷を付けるようなま
ねはしたくないと私なら考えます。

いずれにせよ、B社に対しては丁寧な対応をする。その上で、B社の対
応に不備があると思えば、それをAさんに伝えておく。B社との関係を
考え直すかどうはAさんの判断ですからね。このくらいが妥当な線では
ないかと思います。

丁寧にお断りする、という対応はもちろんアリです。対応が丁寧か失礼
かという問題と、ビジネスとして条件が折りあい取引にいたるかどうか
とは、まったく別次元の問題ですから。

若干、脱線しますが……紹介の話が「B社を助けてあげて」というよう
なものであれば、通常なら断る条件の話でも受けることが多いでしょう。
もちろん、無理なものは無理なので必ずとは言えませんし、私とAさん
との関係次第でもありますが。仕事というのは人と人のつながりのなか
でしていくものだと思いますので。

フレームメールうんぬん以外にも、紹介者に迷惑をかけないがために、
トライアルがあったほうがいいという側面があります。

万が一、紹介された人のデキが悪かったとしても、トライアルありなら
善意で紹介してくれた人に累が及ぶ心配がありません。私の実力、保証
しますと紹介されたのに、もし、紹介先が満足するものを私が出せなか
ったら……紹介してくれた人に悪いと私は思います。せいいっぱいの訳
文をだして満足してもらえなかったのなら、悪いけど仕方がない、では
ありますが。とにかく、トライアルだったとしてもよくありませんが、
仕事として請け負ってそんな結果しか出せなかったらもっとまずいこと
になります。


 ■「Smart Grid」はどこがスマートか           田村 洋一

 日本の技術系サイトでも米国の「Smart Grid」の話題を目にすること
が多くなってきました。複雑で老朽化し運用の柔軟性に欠ける米国の電
力網を、最新のデジタル情報通信技術で刷新するという構想です。これ
を支える技術として「Smart Meter」もあります。「smart」は「かしこ
い」と訳せるでしょう。「かしこい電力網」に「かしこい電力計」です
(注:ガスや水道の「Smart Meter」もあります)。これが具体的にどう
いうことなのかを簡単に紹介しましょう。なお、欧州では「SmartGrids」
(区切りのスペースなし)という同様の構想があり、こちらは米国に先行
して2005年にスタートしました。

 「Smart Grid」構想は米Obama政権の景気刺激策の一環として44億ド
ルの予算措置が講じられてから、急に国家目標として現実味を帯びてき
ましたが、正式に登場したのはG.W.Bush政権下の2007年12月19日に成立
した米連邦法「Energy Independence and Security Act of 2007」(EISA)
でのことです。この法律は米国のエネルギー政策全般にわたる長大なも
のですが、その第13章にあたる「Title XIII - Smart Grid」(略称:EISA
13)で「Smart Grid」とは何か、どう取り組むかが示されました。なお、
「Energy Independence」とはエネルギー源を輸入に依存しないこと、つ
まり石油依存体質からの脱却を意味します。EISAは温暖化抑止を前面に
押し出したものではありませんが、米国の環境政策の転換点の一つであ
ったことは確かです。

 「Smart Grid」の「smart」にはリアルタイム、自動化、双方向、障
害の自動修復、優れたセキュリティなどの意味があります。電力網は発
電所から変電所までの「送電」(transmission)と、変電所から需要家(家
庭や事業所)までの「配電」(distribution)に分けられます(合わせて
「T&D」と呼ぶ)。送電の最大の問題は送電線のトラブルによる停電事故
です。米国全土の年間停電時間は平均220分にもなり(日本は6分)、連鎖
反応で大規模停電になることも珍しくありません。「Smart Grid」では
瞬時の切り替えで停電を局所化して他の地域への波及を抑え、障害発生
地点の割り出しを容易にして復旧までの時間を短縮します。大規模停電
のたびに起こる「サイバー攻撃では?」という不安を払拭するため、電
力会社の制御システム(SCADAなど)のセキュリティを高めます。

 配電では、需要家側に設置される「Smart Meter」で電力消費量をリ
アルタイムに計測し、通信回線で電力会社に送ります。電力会社は検針
の人件費を節約できるだけでなく、きめ細かく配電を調整して運用効率
を上げることができます。この通信機能は双方向で、電力会社から
「Smart Meter」に制御信号を送って何らかの動作をさせることもできま
す。例えば、猛暑で消費電力が警戒水準を越えた場合、電力会社からの
遠隔操作で各家庭のエアコンの設定温度を一斉に高くして消費電力を下
げることも技術的には可能になります(ただし、エアコン機器の対応と
事前の取り決めが必要)。「双方向」は通信に限りません。需要家側に
太陽光発電や燃料電池などの分散型電源(distributed generation)を配
置して、そこから電力網に電気を送り込むことも容易になります。さら
に、大容量の蓄電装置(electric storage)を開発して、変動の大きな風
力発電を使いやすくしたり、電力の品質維持を図ります。

 しかし、問題点もあります。まず、「Smart Meter」によるプライバ
シー侵害の懸念で、これは実際に欧州で反対運動が起きています。
「Smart Meter」を使用すれば各戸の電気の使用状況を時々刻々計測し、
その利用パターン(需要曲線)を把握することは技術的に可能です。その
結果、例えば、その家が留守になる時間帯が第三者に把握できることに
なり、犯罪者に悪用されれば非常に危険です。従来の積算電力計のよう
に1カ月の電力使用量の合計だけを読み取るメーターでは起こらなかっ
た問題です。よく宣伝されている「Smart Meterで需要家の省エネ意識
を高められる」という主張にも疑問があります。また、リアルタイムに
データを収集して送信するとなると、各戸のデータは微量でも、まとま
れば相当のデータ量になります。「Smart Grid」の情報処理システムが
大規模になり電力消費が増えてしまえば本末転倒です。電力会社の配電
調整や需給予測に役立てるために、需要家ごとのデータが必要なのか、
あるいはどの程度のサンプリング間隔が適当なのかは検討の余地があり
ます。

 もっと大きな課題は電気自動車です。「Smart Grid」は電気自動車
(プラグイン・ハイブリッド車=PHEV)を接続するインフラとして構想さ
れています。夜間電力を利用して電力網からPHEVに充電するだけでなく、
逆にPHEVから電力網へ電力を送る分散型電源としての活用も想定されて
います。PHEVはガソリンエンジン併用なので完全に石油が電気に置き換
わるわけではありませんが、それでも石油のエネルギー密度が非常に高
いことを考慮すると、実際の運用環境で今後どの程度の電力が必要にな
るのか、新しい発電所がいくつ必要になるのかは不透明です(これは日
本でも同様)。「Smart Grid」への移行期間は、不安定要素の増大や需
要予測の誤差により、一時的に電力網が不安定になることも考えておく
べきでしょう。

 米エネルギー省(DOE)は、連邦政府の交付金(1件につき最大2億ドル)
を受けて「Smart Grid」構築に参加したい企業からの事業計画書を募集
しました。上からの事業の割り振りではなく、産業界に自主性を持たせ
た推進方法です。電力会社や電子機器メーカーなどから約400件の申請
があり、10月末に100件の交付先が決定されました。ここで注目すべき
は交付金が「マッチングファンド」(matching fund)であることです。
つまり、連邦政府は「必要な資金の半分はこちらで負担しましょう。残
りの半分はあなたが資金調達してください」というスタンスです。申請
者は資金の裏付けがあり、その回収が可能な、現実的な計画の作成を求
められます。連邦政府の資金の2倍の規模の経済効果が期待される巧妙
なやりかたで、これこそ「スマート!」。

●参考リンク:
・GridWise Alliance (Smart Grid推進団体;事実上のポータル):
  http://www.gridwise.org/
・米標準技術研究所(NIST)の「Smart Grid」サイト:
  http://www.nist.gov/smartgrid/
・European SmartGrids Technology Platform
 (EUの報告書;EUR 22040, 2006/03/24):
  http://ec.europa.eu/research/energy/pdf/smartgrids_en.pdf
・東京電力「大学生のためのインターネット電力講座」:
  http://www.tepco.co.jp/kouza/menu-j.html

 ■ 後 記

先日、滅多に見ないBBCにチャンネルを合わせたところ、鳩山&オバ
マの共同会見が大々的に報じられていました。

鳩山首相のスピーチはBBCで英語に吹き替えられており、同時通訳の
方はそれを一生懸命に日本語に訳しておりました。
つまり、日本語→英語→日本語という離れ業です。

「え…っと鳩山首相はそのように言いました。日米同盟は…えー…重要
なものであり…すべての礎なのです。礎です。時代は変遷しており…世
界環境は変化することにより深めればいいのです。それは深めることが
大事なのです。」

通訳の方の高いスキルのなせるわざといえましょう。

いっぽう、某アメリカテレビ局は日本語オリジナルをそのまま流してい
ました。
                                                          (ポン)
 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二

◇ 仕事の始め方

●トライアル

前回は、誰もが一度は通るであろう一般的なトライアルについて書きま
した。今回は、翻訳者を続けていると遭遇することがあるパターンを紹
介します。

◎再受験はできるのか

トライアルに落ちたら、もう2度とその翻訳会社のトライアルは受けら
れないのでしょうか。そんなことはありません。トライアルの目的は
「翻訳の力が一定レベル以上あるかないか」を判定することにあります。
トライアルに落ちたというのは、その時点では一定レベル以下だと判断
された-それ以上でも以下でもありません。力がつけばまた受けてかま
わないし、合格すれば普通に仕事へとつながります。

ただし、実力がはっきりとあがるにはかなりの時間がかかる点は忘れな
いこと。落ちた翌月にもう一度申し込むなどは非常識です。くり返し受
けたら合格率が上がるわけではありません。通る人は通るし落ちる人は
落ちる。トライアルとはそういうものです。

じゃあ、どのくらいの期間をおけばいいのか……そう聞かれても答えよ
うがありません。半年で大きく伸びることもありますし、5年たって変
わらないこともあります。10年たって下手になることだってあります。
でもまあ、トライアルを課す側の手間などを考えれば、少なくとも1年、
できればもう少しあけるべきでしょうね。

少し視点を変えて考えれば、同じところを受けなければならない理由は
ないことが多いと思います。トライアルを受ける先はいくらでもあるの
ですから、「どうしてもここ」と思いこまず、あちこちに当たってみる
のがいいと思います。

◎経験者のトライアル

翻訳業界には、ある程度以上の経験を積んだプロにトライアルをさせる
のは失礼だという考え方があるようです。翻訳者のコミュニティなどで
「経験X年の自分にトライアルをやれとは失礼な会社だ」と憤慨してい
る人を見ることがあります。新しい翻訳会社の方から「申し訳ないので
すが、当社規定のトライアルを訳していただけませんか」と聞かれるこ
とがあるのも、経験が長いプロにトライアルを申し出ると怒られること
があるからでしょう。

この背景には、おそらく、実力は経験が証明しているから改めてトライ
アルで実力を確認する必要などない、であるのにトライアルを課すのは
バカにしているからだという流れがあるものと思います。

でも実はこの考え方、私にはまったく理解できません。新しいところと
取引を始めるときには「なるべくトライアルをお願いします」とこちら
から頼むくらいですから。

まず、怒ることにデメリットはあってもメリットはないと思います。自
分の中で憤慨しているだけでも翻訳の作業に悪影響が出るなどいいこと
はありません。相手に怒りをぶつければ印象を悪くするだけです。

トライアルを課す側の要求レベルがさまざまだという問題もあります。
まず、会社による違いがあります。違いは、A社よりもB社のほうが甘
いということもありますし、重視するポイントが違うということもあり
ます。また、同じ会社でも、「そのうちお願いすることがあるかもしれ
ないから」というケースと「これから始まるプロジェクトを頼める人を
集めたい」というケースでは要求水準が異なるのが当たり前です。他社
で仕事をしていても、その会社にとって仕事を頼める人かどうかはわか
りませんし、そのプロジェクトで使える人かどうかもわからないのが当
たり前なのです。

冒頭の話は、経験年数という実績から、そういう違いがあっても全部ク
リアできるレベルだと判断しろ、そうしないのはけしからんということ
だろうと思いますが、現実を見るとそうも言えないことが分かります。

翻訳の世界は実力勝負。訳文がすぐれていれば、あるいはボロボロなら、
学歴も経歴も関係ありません。プロとして何年も食べているというのは、
たしかに一定レベル以上の力を持つことの証明にはなります。でも、そ
れ以上は何もわからないのです。10年、翻訳で食べていても駆けだしと
同じようなレベルに留まっている人もいます。プロになってほんの数年
でどんどん上手になってゆく人もいます。もちろん、これらを両極端と
して、その中間にさまざまな人がいるわけです。「出版翻訳の実績があ
れば違う」という人もいますが、現実には出版翻訳もピンキリです。出
版された時点での品質もピンキリですし、そこまでに編集さんなどがか
けなければならなかった手間もさまざま。最初から出版向けの品質を作
り込める翻訳者だけが訳書を出すわけではありません。結局、なにがし
かの形でトライアルをするしか初見の相手の実力を確認する方法はない
わけです。

詳しくは後述しますが、トライアルがあったほうが翻訳者にとっていい
という側面もあります。

なお、トライアルの形式としては、翻訳会社などが用意した課題を訳す、
自分で選んだものの原文と訳文を提出するなどの方法があります。小さ
な案件を翻訳会社の言い値でやってからその後のレートを決めるという
方法も、トライアルの一種だと言えるでしょう。

余談ですが……トライアルを受けろというのは侮辱だと感じる翻訳者が
かなり多いという話、翻訳会社の人たちから聞くこともよくあります。
そういうとき、そのあとには「そういう人にかぎって質がよくない」
「できる人はトライアルくらい、ささっと軽くやって出してくれる」と
いう話が続きます。愚痴に近いことが多いので話半分に聞いたほうがい
いと思いますが、少なくとも、いろいろな人がいることだけはたしかで
しょう。
 ■翻訳読書ノート46                   北田 敬子

「音楽の響く小説」

上質の物語を読む時、読者は内的な旅をし、別の人生を生きている。読
んでいる最中は書かれている言語の種類も意識しない。だが翻訳書には
かすかなフィルターが掛かっている気のすることが多い。こんな日本語
をしゃべる人がいるだろうかと時折訝しむことはあるにせよ、それを忘
れさせる文章であるなら多少の違和感はむしろ作品の個性として受容で
きる。『わたしを離さないで』(カズオ・イシグロ著 土屋政雄訳 
早川書房 2006)はそんな本の一冊だと思う。

クローン人間製造システムがあったとして、生まれた子供たちが成長し
て「(臓器)提供者」、あるいはその「介護人」となって使命を果たす
までをこの物語は描いている。散りばめられた暗示から次第にその設定
は明らかになっていく。ごくありふれたイギリスの片田舎の若者たちに
鬱屈はあっても、自分たちの特殊性を自覚する彼らには運命を変えよう
とか逃げ出そうという意志は働かない。語り手のキャシーと、親友であ
りライバルでもあるルースと、この二人と関わりを持つトミーの心の機
微を中心に、外的にはあまり起伏のない彼らの日常が綿々とつづられる。

若者たちは世間一般の人々と混じり合って生きる機会がないことを嘆き
はしないが、「ポシブル」と呼ぶ自分たちの生命の元であったかもしれ
ない人との出会いを密かに期待するところはある。予め定められた人生
の中で彼らは健気に愛し合い、憎み合い、許し合う。人ならぬヒトから
も自身の存在の意味を問う「心」を省けるはずはないと、彼らは静かに
語り続けているようだ。運命執行猶予への仄かな希望が失われたとき、
小説は終わる。

クローン人間の成長という着想は荒唐無稽なのか、それとも現実味を帯
びているのか?人権思想を生み、ダーウィンを生み、かつクローン羊の
ドリーを生んだ国で書かれるべくして書かれたと思えば、日系英国人が
作者であることに拘るのは的外れだろう。それが日本語に訳されて日本
の読者に供される。これは間違いなく国境を越えた我らの時代の作品だ。

実はイシグロの最新短編集『夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物
語』(土屋政雄訳 早川書房 2009)の洒脱さに唆されて「もう一曲」
と手にしたのがこの本だった。「わたしを離さないで」というのも曲名
である。カセットテープでその曲を流して、命を授かる奇跡を夢想しな
がら一人で踊り、一度は失ったテープをトミーとともに再発見するキャ
シーの物語は、作中に描かれる湿地に打ち上げられた廃船や有刺鉄線に
引っかかって風になびく漂流物と同様、うら寂しくもまた美しい。手の
届きそうな戦慄すべき未来と、取り返しのつかない懐かしい過去は、音
楽が与える夢と幻で緩やかに繋がっている。

 ■ 後 記

一家団欒の夕食。話題がマイケル・ジャクソンの映画のタイトル"THIS
IS IT" に及んだ。で、娘(中1)に尋ねられた。「あのさぁ、"THIS IS
IT" ってどういう意味?」と。私と妻と次男(中3)は固まった。

"THIS" も "IS" も "IT" も簡単な単語だ。この映画がマイケルの死に
よって実現しなかったロンドンツアーの名称にちなんだものであること
も知っている。しかしこの場合に "THIS IS IT" といわれ、どう訳して
いいのやらさっぱりわからないのである。

結果、正直(かつ卑怯)な私は「明日、英語の先生に聞きなさい」とス
ルーパスすることとした。

今晩、娘に先生がどう説明してくれたのか、それを聞くのが楽しみであ
る。
                                                           (青)
 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二

◇ 仕事の始め方

●トライアル

履歴書、職務経歴書などを提出し、書類審査に通ればトライアルとなり
ます。

短い文章が送られてくるのでそれを訳して提出し、実力を確認してもら
うわけです。試験のようなものだと考えればいいでしょう。

自分の実力を正確に測ってもらうため、また、アピールしてのちのちの
仕事につなげていくために注意すべき点がいくつかあります。
 ・指示に従う
 ・トライアル分野に注意する
 ・仕事をイメージした納品方法とする
 ・できる限りの努力をする
 ・仕事ベースになっても同レベルの仕上げをする

◎指示に従う

「XXについてはYYとしてください」など指示がある場合はそれに従
いましょう。

仕事でもいろいろな指示を受けることがあります。そのような指示にき
ちんと従って作業をしてくれる人かどうか、そういう能力の有無もチェ
ックポイントなのです。注意しましょう。

◎名前を記入する

トライアル訳文の最初に名前をかならず記入しましょう。

募集があった場合のトライアルはもちろん、それ以外でも、採用担当者
はたくさんの訳文を見ることになります。そのとき、履歴書などをはず
し、訳文だけをまとめて見ることもあります。「訳文はとってもいいん
だけど、これ、誰なんだろう」ということにならないように、名前を必
ず記入しておきましょう。

もちろん、別の形式が指示されていれば指示が優先です。

◎トライアル分野に注意する

多くの翻訳会社が複数分野のトライアルを用意しています。
分野は、アプローチした翻訳者が選ぶ場合と翻訳会社が選ん
で送ってくる場合があります。

後者の場合、自分の不得意分野が来てしまうことがあります。
履歴書に得意分野とやりたいない分野を明記していても全然
違う分野が送られてきたりするのです。

不得意な分野が送られてきてしまったら、変更をお願いして
みましょう。応じてくれることが多いはずです。「その分野
の翻訳者が欲しいので、ともかく、送ったトライアルはやっ
て欲しい」などと言われることもあります。そのような場合、
まずは訳してみるのでしょう。あまりにできが悪かったら訳
文の返送をやめればいいわけですから。

◎仕事をイメージした納品方法とする

トライアルと仕事は基本的に同じです。特に指定がなければ、送られて
きたファイルに上書きして送りかえしましょう。PDFなど上書きができ
ないフォーマットのときは、Wordやテキストファイルにすればいいでし
ょう。

◎できる限りの努力をする

当然ですね。トライアルのできが悪ければ先はありません。できる限り
よい状態に仕上げてください。

原文の内容を理解する、専門用語を調べて確認する、自然な訳文に仕上
げる……このあたりが一通りできていればトライアルに落ちることはあ
りません。内容の理解と自然な訳文は翻訳の実力そのものですからトラ
イアルになってあわててもどうしようもありません。ふだんの勉強が物
を言う世界です。これに対して専門用語の調査・確認は、やるかやらな
いか、の世界です。

自動車関係の英日トライアルで自動車関係の本やパンフレットによく出
てくるある単語(自動車ユーザー向けに一般に使われる用語)がでてき
たことがあります。この程度の単語がだめなら文句なしに落とすのだが、
これに引っかかる人がとても多いのだそうです。

◎仕事ベースになっても同レベルの仕上げをする

翻訳会社の採用担当者から「トライアルのできはいいのに実際の仕事で
ボロボロになる人がときどきいる」という嘆きを聞くことがあります。

実際の仕事のできが悪ければ、すぐに仕事はこなくなります。「トライ
アルは念入りに、ホンチャンの仕事はそれなりに」では継続受注など望
めません。仕事になったら毎回がトライアルです。

そうは言っても、仕事になると納期も厳しく、トライアルほど念入りに
作業をすることは困難になります。その点は翻訳会社側でもわかってお
り、若干の質の低下は織りこんでトライアルの合否や仕事の発注を決め
ているのですが、その予想を大きく超えて質が低下する人がときどきい
るわけです。

トライアルの訳文を作るとき、「これと同等の訳文を自分は仕事で出し
続けられるのか」と自問自答してみるといいでしょう。言い換えると、
仕事になったときできないことはトライアルでもしないのが基本となり
ます。「できる限りの努力をする」と矛盾するように感じるかもしれま
せんが、そうでもありません。毎回の仕事で「できる限りの努力をする」
のが翻訳という仕事ですからね。

なお、ごくまれにですが、(↓)のようなことをする人がいると聞いて
います。
 ・できる人に聞きまくる
 ・上手な人に訳してもらう
 ・数人で相談しながら訳す

トライアルに落ちつづけるとこのような誘惑にかられるのかなと思いま
すが、百害あって一利なしなのでやめておきましょう。我々の目的は、
トライアルに合格することできなく、継続受注すること。そう考えれば
このようなことに意味はないとわかるはずです。
 ■「山本ゆうじの翻訳道具箱」(その60)
  
知識の宝が眠る場所――図書館を制す者は知識を制す

最近、Amazonの電子書籍リーダーKindleが日本でも使えるようになりま
した。現在は英語の書籍のみとはいえ、これで電子書籍の普及が刺激さ
れるかもしれません。しかし電子書籍が普及しても、情報収集の手段と
して図書館は重要です。私も、この11月に美術検定2級を受けるために、
古今東西の美術史の本をいろいろ借りて勉強しています。今回は図書館
の活用について考えてみます。

ITなど、変化のペースが速い分野の翻訳はともかくとして、体系的な読
書をして、専門知識の基礎を固め、あるいは専門知識をさらに深めるた
めに図書館は重要です。図書館を使うことで、「積ん読」を防ぐことも
できます。返却期限があるわけですから、「期限までには、がんばって
何とか読み終えよう」という気持ちが生まれます。もっとも著者や翻訳
者の立場からすると、自分がかかわった本は買ってほしくはあるのです
が……(それで思い出しましたが、私が翻訳に参加しているフランスの
マンガ雑誌『ユーロマンガ』第3巻は10月14日発売です)。
http://tinyurl.com/euromanga-all

さて、返却期限、貸し出しの冊数、閉館時間、休館日など、自分が使う
図書館のスペックについて把握しておくのは基本です。また市立の図書
館は、他の市や大学などと相互貸し出しを行っていることがあります。
さらに、たいていの図書館では、インターネットから検索と予約ができ
るはずです。書庫の間をさまようのは楽しくはありますが、それだけで
は見つけられない本があります。「読みたい本のリスト」をうまく管理
するとよいでしょう。図書館に行く前に、どの本を借りるかを把握して
おくわけです。私はPDAで「本のリスト」を管理していますが、手帳な
どでもかまいません。

「図書館に行くのが面倒」という方もいるでしょう。しかし借りた本は
返すわけですから、「返したときにまた借りる」という循環ができれば、
面倒ではありません。ここでも「読みたい本のリスト」が重要になりま
す。また、インターネットで予約しておけば、その本を取りに行くだけ
です。

中には「本に書きこみをしたいので借りるのはいやだ」という人もいる
かもしれません。ただ私の経験からは、本に直接書きこむのはほとんど
意味がありません。どこに何を書いたかということを、あとで探すこと
が難しいからです。別に読書ノートをつけることをお勧めします。でき
ればパソコンで記録しておけば、古い記録でも検索できます。私は読書
ノートをOneNoteなどのメモ取りソフトを活用して整理しています。ざ
っと調べてみましたが、私の場合は1998年、つまり11年前の読書の記録
が残っています。この時点の記録に対して全文検索はできますが、まっ
たく未整理なので、すぐに活用するのは少し難しそうです。2000年以降
のデータについては、読んだ本ごとにまとめられ、ある程度整理されて
いるので、活用しやすくなっています。一時期、「読書データベース」
を構築しようとした時期がありましたが、止めてしまいました。ひとま
ず題と著者さえ正確に記録しておけば、本についてのその他の情報は、
必要に応じて調べられるからです。重要なのは、むしろその本について
の読書ノートそのもの、つまり得られた知識や感想のほうです。

読書ノートに限らず、あらゆるメモについていえることですが、断片的
な語句だけでなく、なるべく文として完成させたほうがよいようです。
断片的な語句だけでは、あとで読み返しても意味不明になることがあり
ます。それでは、そもそもノートをつけた意味がありません。また「特
定分野(たとえば美術史)について読書を通して学ぶ」という主体的な
目的意識をはっきりさせれば、まとまりのあるノートになり、価値が高
まります。読書体験に明確な方向性が生まれると、一冊一冊の読み込み
も深くなり、より充実した読書ができるわけです。

さらに図書館では視聴覚資料も活用できます。古い名作の映画などは、
一通りそろっているはずです。また質や量はいまひとつかもしれません
が、図書館によっては外国語の資料が使えることもあります。近くの図
書館に、どんな資料があるのか一度確認してみてはどうでしょうか。も
しかすると意外な掘り出し物があるかもしれません。
 ■ 後 記

最近「外国人力士はなぜ日本語がうまいのか」という本を読みました。
“外国語習得”という観点からすると「な~んだ、そんなこと?」とい
う内容でしたが、大相撲ファンの私にとって面白かったのは、刊行当時
(2001年)まだ入幕したてだった朝青龍が“向上心があり、親方の言う
ことをしっかり聞くまじめな好青年”として書かれていたこと。もちろ
んそれは嘘ではなかったのでしょうが‥
                              (み)


 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二

 ◇仕事の始め方

 ●アプローチの仕方

 ◎履歴書・職務経歴書の書き方

 前号のメールマガジンでは、翻訳会社へアプローチする際の履歴書につ
 いて取りあげました。今号はその続きで職務経歴書と翻訳サンプルを取
 りあげます。

 ○職務経歴書

 職務経歴書には、過去にどのような仕事をしてきたのかをリストアップ
 します。履歴書側に職歴を書いたのであれば、こちらには翻訳者として
 の職歴だけを書けばいいでしょう。逆に職歴はすべてこちらにまとめ、
 履歴書は職歴を省くという手もあります。

 いずれにせよ簡潔に見やすく書いてください。

 翻訳者としての実績は、履歴書に書いた得意分野における実績、自分が
 これからやりたいと思っている分野の実績などをアピールできればいい
 でしょう。たくさんあることをアピールしようとずらずら書いても、読
 む方はいやになってしまいます。代表的な例をごく少数挙げるだけで十
 分です。心配なら、最初に「実績は例としてごく一部のみをリストアッ
 プしています」と書いておくなどすればいいでしょう。

 翻訳の実績では、小さな案件から大きな案件までやってきたならそうい
 う話、また、硬い文章が多いのかマーケティング系などの柔らかい文章
 が多いのかなど、発注側にとって有益だと思われる情報をさりげなくち
 りばめておきます。

 なお、翻訳の実績をリストアップする際、具体的に書きすぎないこと。
「電子部品メーカーの集積回路に関する販売資料」など、どういう分野
 のどういう仕事をしたのかは分かる必要がありますが、あまりに詳しく
 書きすぎると守秘義務に注意を払っていないと思われるおそれがありま
 す。

 具体的には、訳した時期(年月くらい)と案件の概要がわかるタイトル、
 翻訳言語(英日か日英か、それとも他の言語か)、分量くらいの情報を
 表にすればいいでしょう。昔、自分で書いたときには、分野ごとに分類
 するとともに自分の専門分野のリストを最初に持ってきました。自分の
 専門をアピールしたいと思ったからです。

 なお、駆け出しのころは翻訳歴として書くことが少ないものです。そう
 いう人は、下訳でも社内業務の翻訳でもいいから、とにかく、翻訳した
 ものをリストアップします。ボランティアでお金をもらわなかったもの
 でもいいのです。募集する側が職務経歴書を要求するのは、「この人は
 過去にどのような仕事をしてきたのか」を見ることが目的ですから。

 ○翻訳サンプル

 こちらは要求される場合とされない場合がありますが、私は添付したほ
 うがベターだと思います。翻訳というのはとにかく実力勝負であり、そ
 の実力は原文と訳文を見比べる以外に確認する方法がないわけですから。

 翻訳サンプルを添付する場合、ごく少量を原文・訳文のセットで提出し
 ます。「翻訳サンプル」だからと訳文だけを出さないこと。また、大量
 に出すのも御法度です。リストと同じで見るほうがいやになってしまい
 ますから。原文と訳文、合わせてA4 1枚に収まるくらいで十分でしょう。
 分野や文章の硬軟などで、これを数種類用意すれば完ぺきです。

 サンプルとしては、よく、「課題や過去の仕事」ということがいわれま
 す。しかし、過去の仕事は守秘義務上、問題となることがあるので注意
 が必要です。そういう意味では、インターネット上に公開され、公知と
 なっている文章を訳してサンプルとしたほうが安全でしょう。

 出来のよいサンプルを提出すればトライアルなしで登録になることもあ
 りますが、基本的には、サンプルの出来がどうであれトライアルがあり
 ます。同じ原文の訳文で比較しないと相対的な評価がしにくいですし、
 ある分野に特化している翻訳会社ならその分野の知識も見たいですから。

 ○書き方のポイント

 履歴書と職務経歴書によって門前払いとなるかトライアルを受けられる
 かが分かれます。つまり、履歴書を書く時点で翻訳会社の審査は始まっ
 ているのです。

 このような書類を書くときのポイントは、「相手が必要とする情報を見
 やすく、分かりやすく書く」-これに尽きます。翻訳というのは、自分
 と異なる常識や考えを持つ書き手の考えを、自分と異なる常識や考えを
 持つ読み手が分かりやすい形で伝える仕事です。これに比べれば、自分
 のことを翻訳会社に伝えるなどやさしいはずです。逆に言えば、自分の
 ことを翻訳会社へ上手に伝えられない人がまともな翻訳などできるはず
 がない、そう思われても仕方がありません。そこまで明確に意識してい
 なくても、「読みにくい、知りたい情報がない、不明確、分かりにくい」
 などと採用する側が感じれば、評価は一段、下がるのが当たり前です。

 ポイントをもう少し具体的に書くと、以下のようになります。

 ・見やすく、読みやすく書く
 ・採用する側は忙しいことを念頭に書く
 ・採用する側が知りたいことを分かりやすく書く
 ・採用する側にとってメリットとなることを強調する

「採用する側は忙しい」という点について、ちょっと補足します。

 必要な情報とどうしても読んで欲しい情報は、最初の1枚に入れておく
 べきです。忙しい採用担当者は1枚目を流し読みして、これは、と思っ
 た人だけ、2枚目、3枚目まで目を通すこともあるからです。

「採用担当者なら、キチンと読め!」と言いたい気持ちは分かりますが、
 現実はこんなものです。採用担当者は、他の業務(こっちがその担当者
 の中心職務)をこなしながら、採用「も」行うのが普通だからです。

 ただし、詰め込みすぎて読みにくくならないように気をつけましょう。
 情報を厳選することが重要なのです。

 ■ 仕切り直しのGoogle狂騒曲              田村 洋一

 世界が注目したGoogleブック検索をめぐる米国での訴訟で、「和解案」
 が再三の日程繰り延べの末に、裁判所の裁定を待たずに当事者が取り下
 げるという結果になりました。これには米司法省が陳述書で述べた鋭い
 反対意見が強く作用しました。日本の出版関係者もホッとひと息という
 ところでしょう。ただし、訴訟が終わったわけではなく、「和解案」は
 修正されて再度提出されることになります。問題の「和解案」は323ペ
 ージもあり(そのうち19ページが用語定義)、内容は法律家の作文で解読
 が大変ですが、ひと通り目を通してみました。この「和解案」には1冊
 の本がかけるほどの問題点があるので、そのごく一部を紹介します。

 その前に、誰が、何を求めて起こした訴訟なのかを確認しておきまし
 ょう。被告はもちろんGoogleです。当初の原告は米国最大の著述家団体
 「Arthors Guild」(以下、AG)と3人の著述家ですが、この3人はAG会員
 で、集団訴訟(Class Action)の体裁を整えるために加えられたと解釈す
 べきでしょう(その後5人に増加)。この「AG v. Google」訴訟で原告は
 次のように主張しました。「GoogleはGoogle Library事業においてスタ
 ンフォード大学など4つの大学図書館およびニューヨーク公立図書館と
 契約し、その蔵書の多くをデジタル化しつつある。対象となっている書
 籍はパブリックドメインに属すものだけでなく、まだ著作権保護されて
 いるものも含まれる。後者についてGoogleは著作権者の了解を得ていな
 いので著作権侵害に当たる」。そして、原告はGoogleに対して損害賠償
 を求めると同時に、裁判所がGoogleの著作権侵害行為を差し止めること
 を求めたのです。2005年9月20日のことでした。常識的に考えれば、こ
 の集団訴訟の原告団はAGの公称8500人の会員です。

 少し遅れて2005年10月20日、米国の主要出版社が加盟する「AAP」(米
 国出版社協会)もGoogleを提訴。こちらも原告側はAAPに大手出版5社を
 加えた集団訴訟で、Googleが権利者(著作権と出版権)の了承なしに著作
 物をデジタル化して配布しようとしていることに異議を唱えています。
 常識的には原告団に含まれるのはAAP会員の300社超の出版社です。「AG
  v. Google」訴訟と「AAP v. Google」訴訟は(表面上は)別々に進めら
 れましたが、2008年10月28日に合同で「和解案」を提出し、裁判所の許
 可を求めました。このとき、米国内で書籍を出版している世界中の出版
 関係者が自動的に「原告団」に含まれることが初めて明らかになり、パ
 ニックが起こりました。2つの集団訴訟は一つにまとめられた形になり、
 原告団はAG側の「Author Sub-Class」とAAP側の「Publisher Sub-Class」
 で構成されるという複雑な訴訟になっています。

 さて「和解案」ですが、極言すれば「儲かりまっせ!」ということで
 す。損害賠償は二の次で(1冊60ドルの一時金)、Googleは「違法行為は
 行っていない」という主張を黙認され、いままで通りデジタル化を進め
 ることができます。「和解案」の主眼は新しいビジネスモデルの構築で、
 ほとんど事業の「実施計画書」という印象です。著作権法はもちろん、
 将来にわたって取引条件を拘束する内容が含まれるなど、反トラスト法
 (Sherman Act)にも抵触する可能性が大きいことが米司法省に指摘され
 ました。訴訟当事者は、米国外の多数の出版関係者を集団訴訟の原告団
 の立場に巻き込んでおきながら、事前に必要な説明も連絡もせず(これ
 は集団訴訟の「Class Representative」としての義務の不履行)、離脱
 (Opt-out)の意思表示をしなければ「原告団」の一員として「和解案」
 を許諾したことになるというシナリオを書きました。この「和解案」に
 裁判所のお墨付きを求めたわけです。言語道断というべきでしょう。こ
 の訴訟では被告側のGoogleだけが非難されがちですが、暴走の責任は原
 告側のAGとAAPも同等です。

 Googleに協力して、著作権保護が有効な書籍のデジタル化を認めた米
 国の図書館にも責任の一端があります。そもそも書籍は「媒体」と「情
 報」とが一体化されたものとして価格設定された著作物であり、図書館
 もそれを承知で購入しています。その図書館が、書籍の「情報」だけを
 大量に分離して、事実上、用途の制限なしに第三者に提供(あるいは販
 売)することが書籍購入者の権利に含まれるのかどうか、必ずしも自明
 ではありません。本来、大学図書館に許される蔵書のデジタル化は、学
 内の学生や教職員に全文検索サービスを提供する範囲までに限られるべ
 きでしょう。それを越える場合は不正コピーになり、全く新しいデジタ
 ル著作権の枠組みで対処する必要があります。図書館が「デジタル海賊
 版」の出版に加担することは避けるべきです(特に「Orphan Works」の
 扱い)。

 先に「儲かる」と書きましたが、それは(Googleから3000万ドルの訴訟
 費用を受け取るAG側弁護士を別にして)Googleと、運営の中核になる
「Registry」を手中にするグループだけになる可能性が高いと思われま
 す。「Registry」は非営利法人として設立されることになっていますが、
 その権限は大きく、金銭面の透明性が十分に確保されているようには見
 えません。Googleが「Registry」の立ち上げ費用として支払う3450万ド
 ルの根拠も説明されていません。

 一方、「和解案」で当初想定される主な売上は、Google検索における
 デジタル書籍の検索連動広告から得られるもので、出版社などの権利者
 には売上の63%が支払われ、残りの37%がGoogleの取り分です。出版社
 がその検索ページのヒット数を上げるように仕向けることはかなり困難
 です。将来、著作権保護されたデジタル書籍がダウンロード販売された
 り、オンデマンド出版されることになった場合でも、購入される書籍は
 ロングテールの傾向を示すことが予想され、出版社1社あたりの売上に
 大きく寄与することは考えにくいでしょう。しかし、それらは全て
「Registry」で管理され、Googleから販売されることになります。この
 仕組みはApple iTunes Storeに似ていますが、音楽・映画業界のライセ
 ンス料が高額であることを考えれば、Googleの利益率ははるかに大きく
 なると思われます。
 Googleは儲かるようにできているのです。

 和解案には全てに共通する「Opt-out」ベースの仕組みや「絶版」の判
 断など多くの問題がありますが、最後にもう1点。前述のように、2つの
 集団訴訟が1つにまとめられて「和解案」が作成されました。ところが、
 ほとんどメディアでは言及されていませんが、この「和解案」には添付
 資料の形で、もう一つの和解文書が含まれています。それはAAPが単独
 でGoogleと交わした和解文書です(p.317)。集団訴訟の和解の形態とし
 ては変則的で、内容にも疑問があります。まず、GoogleはAAP側に1550
 万ドルを支払うことになっています。これは「AAP Payment」と呼ばれ、
 「和解案」本体に記載されたGoogleが支払う金額(総額1億2500万ドルと
 される)とは別口です。「AAP側の弁護士費用、および出版社と著述家の
 利益を図る基金を設立するためのもの」と書かれていますが、賠償金の
 一部に充当されるとは書かれていません。さらに、訴訟で双方が知ると
 ころとなった事項について、「和解案」本体に記載された事項以外は第
 三者には開示しないという守秘義務を課しています。企業秘密があると
 しても、不透明な和解という印象を免れません。どんな交渉をしたので
 しょうか?

 (注)この記事は筆者個人の見解を表明したものであり、日外アソシエー
 ツの見解とは必ずしも一致しません。

 ●参考リンク:
 ・和解案「Settlement Agreement」(2008年10月29日付):
 http://www.authorsguild.org/advocacy/articles
 /settlement-resources.html
 ・Authors Guild:
 http://www.authorsguild.org/
 ・AAP (Association of American Publishers):
 http://www.publishers.org/
 ・Open Book Alliance ※「和解案」反対派:
 http://www.openbookalliance.org/
 ・U.S. Department of Justiceの陳述書(2009年9月19日付):
 http://thepublicindex.org/docs/letters/usa.pdf
 ・U.S. Copyright Officeの米下院での陳述書(2008年3月13日付):
 The "Orphan Works" Problem and Proposed Legislation
 http://www.copyright.gov/docs/regstat031308.html
 ・(社)著作権情報センター:
 http://www.cric.or.jp/
 

 ■ 後 記

 中国60周年建国記念日の軍事パレードなるものをニュースで見た。なん
 だかしらないけども凄い。戦車、ミサイル、兵隊さん達の一糸乱れぬ行
 進はもちろん。それに加え人間の数がまた凄い。報道によれば二十万人
 がこのパレードに招待され、数十万人の警官とかりだされた百万人の市
 民が警備に当たったという。あの日、一体どれだけの人がパレードに関
 わったのだろうか。
 とろこでこのニュースを見て、隣国に住むひねた小市民(=私)の頭に
 まず浮かんだのは「トイレは大丈夫なのか?」ということだった。
 もっとも人工消雨で晴天さえ演出してしまうのである。人間の生理現象
 などかの国では管理可能・心配無用なのかもしれない。
                              (青)
 

 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二

 ◇仕事の始め方

 ●アプローチの仕方

 ◎履歴書・職務経歴書の書き方

 翻訳会社へアプローチするため、まずは書類を用意します。通常、提出
 するのは以下の2種類です。翻訳のサンプルを添付することもあります。

 ・履歴書
 ・職務経歴書
 ・(翻訳サンプル)

 ○履歴書

 履歴書はフォーマットが市販されています。「履歴書 フォーマット 
 ダウンロード」くらいでインターネット検索をすれば、ファイル形式の
 フォーマットを入手することもできます。

 いずれにせよ、そのようなフォーマットを参考にWordなどで自作するの
 がいいでしょう。最近は履歴書や職務経歴書を郵送ではなく、メール添
 付で送ることが多いため、ファイルにしておかないと困ってしまいます。
 また、一般的なフォーマットでは、翻訳の仕事に必要な項目がない、そ
 ういう欄が小さすぎるなどの問題があったりします。必要なのにない項
 目は追加し、欄が小さいものは大きくするなど調整をしましょう。逆に、
 一般的なフォーマットに必ずある「免許」などは書かなくてもいいケー
 スが多いと思います。

 住所・氏名、連絡先のほか、学歴・職歴も簡単に書いておきます。

 もし、会社員を続けつつ翻訳の仕事をする二足のわらじをめざしている
 のなら、現在、勤めている会社の名前も書いておきます。業務としてど
 こで何をしているかは、自分のウリになる情報だからです。あなたにど
 の案件なら回してよくてどの案件を回したらまずいか、翻訳会社が考え
 るときの重要なポイントにもなります。たとえば、「製薬会社勤務」と
 だけ書いてあったのでは、ある製薬会社から新薬開発関係の文書が出て
 きたとき、あなたに回していいものかどうか翻訳会社で判断がつきませ
 ん。もし、あなたがライバル会社に勤めていたりしたら、守秘義務上、
 翻訳会社に重大な問題が発生します。翻訳会社は二足のわらじに仕事を
 回すことに慣れていますから、翻訳会社に提出する経歴書に勤務先名を
 明記したからといって、そこから二足がばれる心配はありません。

「免許・資格」は、自動車免許など一般的なものしかなければ項目自体
 をなくしてしまいましょう。無線技術者の免許、ファイナンシャルプラ
 ンナーの資格など、ある分野に詳しいことの証明になるものがあれば自
 己アピールとして書いておきます。

「趣味・特技」というのも一般的な履歴書によくある項目です。特にな
 ければこれも項目ごと削除しましょう。逆に、趣味として普通の人より
 よく知っている分野があれば書いておきましょう。料理、ワイン、釣り、
 鉄道、アニメ、ゲーム……翻訳の専門と関係ないことでいいのです。い
 つもと傾向が大きく違う案件が飛び込んできたとき、翻訳会社では、趣
 味欄に関係のありそうなことが書いてある履歴書がないか、必死に探し
 たりするのです。私の経験でも、昔、「井口さん、たしか昔、フィギュ
 アスケートの選手をされてたんですよね?」とフィギュアスケート関係
 の案件が回ってきたことがあります(履歴書に書いてはいなかったけれ
 ど、コーディネーターさんがたまたま知っていた)。

 一般的な履歴書にはないけど翻訳者の履歴書には不可欠なのが「翻訳対
 象の言語」です。英語から日本語、日本語から英語など、方向も含めて
 明記します。

 経験年数も必要です。「会社の業務としてXX年、専業翻訳者としてY
 Y年」などと書いておきます。

「得意分野」あるいは「専門分野」も不可欠な項目です。これは前にも
 書いたように、あくまで翻訳者として「得意」あるいは「専門」である
 分野です。これから仕事を始める場合には、「翻訳者として仕事をして
 ゆこう」と思っている分野を書いておきます。

 作業環境も必ず書きましょう。仕事分野によっては不可欠なTradosなど
 の翻訳支援ソフトを持っている場合は、必ず書いておきます。MS Office
 も、Wordだけなのか、Excel、PowerPointまで持っているのか、明記し
 ておきましょう。

 通信環境も忘れずに。なお、メールアドレスは必ず有料のプロバイダか
 ら割りあてられるものを取得しておきます。間違っても、いわゆるフリ
 ーメールアドレスを書かないこと。まじめに仕事をしたいと考えれば当
 然の行動だと思います。これを当然だと思わない人は仕事社会の常識を
 どこかで勉強して出直すべきでしょう。

 自己アピールも書いておきましょう。内容は、他人と違う自分の特色で、
 翻訳会社にとってメリットがあること。この基準から外れる内容なら書
 かないほうがマシです。意欲を示したいと「徹夜してでもがんばります」
 などと書かないこと。「徹夜なんてしたら品質は落ちる。徹夜せずにき
 ちんと仕事を仕上げるスケジューリングもできないのか」とあきれられ
 たりします(私ならそう思います)。「丁寧な仕事を心がけています」
「納期は必ず守ります」など、プロなら当然のことだけ書くのもやめま
 しょう。アピールするポイントは特にありませんと言うようなものです
 し、下手すれば、「そのくらいプロなら当たり前だということさえ分か
 っていないのか」と思われるかもしれません。

 ■ 翻訳読書ノート45                                    北田 敬子

「ドキュメンタリーの魂」

 今年も9.11が過ぎた。あの無差別テロはどのような経緯で起こったのか、
 複合的視点からの丹念な取材を元に書かれたのが『倒壊する巨塔 アル
 カイダと9.11への道 上・下』(ローレンス・ライト著 平賀秀明訳 
 白水社 2009)である。事件は何も青天の霹靂ではなかった。十分に予
 想されながら、阻止出来なかったことが明かされる。

 片やウサマ・ビンラディンを首領とするアルカイダやアイマン・ザワヒ
 リに率いられたジハード団などアフガン・アラブズ、片やジョン・オニ
 ールに象徴されるアメリカ合衆国のFBI捜査官やCIAの局員達。両陣営が
 9.11に収斂していく様は、息をのむ緊張感に満ちている。サウジアラビ
 アに発し、エジプト、スーダンを巻き込み、イラク・クウェート・イラ
 ンを跨ぎ、パキスタンからアフガニスタンに至る地域に暗躍するイスラ
 ムのテロリスト達が、遙か彼方のアメリカ合衆国を宿敵と定めたのは何
 故か。サウジアラビアの大財閥の御曹司がカラシニコフを抱えてアフガ
 ニスタンの山奥深くに隠棲し、ハイテク武器で重装備したアメリカにテ
 ロ攻撃を仕掛け続けるとは荒唐無稽な狂気の沙汰に見える。にもかかわ
 らず、自爆攻撃の想像を絶する破壊力をテロリスト達は現代社会に誇示
 してきた。仕掛ける側、それを阻もうとする側、いずれの陣営にも隠微
 に見え隠れする内なる敵がいる。世界を震撼させる事件の裏側で相争う
 人間達の姿を詳述しながら、本書が淡々と描き出すのは、血を流すのは
 生身の人間であり、兵士や聖戦士を自称する輩より「無辜の民間人」の
 方が多いという紛れもない事実である。殉教と陶酔して自爆テロを行う
 者達も、復讐心に燃えミサイルをピンポイントで撃ち込む大国も、殺傷
 の過酷さに於いて差はない。「アフガンは帝国の墓場」とアメリカを挑
 発し続けるビンラディンは、老いても病んでも尚、荒野の洞窟にいる
(らしい)。その不気味さが惻々と伝わってくる。

 膨大な資料と318人に及ぶ関係者とのインタビューを元に書かれた本書は、
 アラブ諸国とアフガニスタンの人士・歴史・情勢を丹念に紹介・分析し
 つつ、攻撃目標となったアメリカ側の内情にも容赦なく切り込んでいく。
 そしてウサマ・ビンラディンの生いたちや私生活が時にはユーモアさえ
 感じさせる筆致で描かれると、とりわけ本当はお洒落も贅沢もしたかっ
 たであろう第一夫人が憤然と自ら離縁して行く様や、ニンテンドーのゲ
 ームで遊ぶ息子の様子など、「普通の人びと」の素顔が見えてくる。FBI
 を退職して世界貿易センタービル保安主任職に就任したとたん9.11を迎
 え、倒壊する巨塔の下に消えたジョン・オニールの、正義漢と言うより
 やんちゃ坊主ぶりには苦笑させられる。間違いを犯すべく生まれた人間
 達がこの地上に建てた塔はいずれ自ら引き倒すしかないのかと思いなが
 ら、行間に希望を探すのもまた人間なのであろう。ピューリツァー賞受
 賞から2年を経て訳出された本書の著者は、優れた映画の脚本家でもあ
 るという。なるほど、手に汗を握るはずである。

 ■ 後 記

 メールマガジンを出しながらこんなことを言うのははばかられるのです
 が、どうもメールでのコミュニケーションが苦手です。それはいただい
 たメールをよく見落とす。返信しようと思っていながら新しいメールに
 反応し忘れる。好意をこめたいのだが相手にそれが伝わらない。といっ
 たことがままあるからであります。結果、不義理、不誠実、無愛想とい
 う(私からすれば)誤解が生じるのです。

 男子四十五歳にして、絵文字を交えようかしらん(^_^;
                             (青)

 ■「山本ゆうじの翻訳道具箱」(その59)               山本 ゆうじ

 映画や海外ドラマで英語を学ぼう2――DVD、Blu-ray、そしてダンベル

 しばらく前に、日本の中学校の英語教育を参観させていただきました。
 映像教材は使っていたものの、40人以上もの生徒に教えるには、一方的
 で機械的な詰め込み教育しかできません。ベルトコンベヤーでロボット
 を作っているようなものでした。これで英語の力がついたら「奇跡」で
 す。お金を掛けなくても、もっと方法を工夫することにより日本の英語
 教育は変えることができるのに、もったいない話しです。日本での暗記
 型英語学習では、多聴多読どころか、原文に直接触れる機会がそもそも
 異常に少ないようです。大人になったら手遅れというわけではありませ
 んが、中学校で多聴多読ができる時期にそれをしなくてどうするのでし
 ょうか?

 私は最近、27インチのパソコン用モニターを購入したので、ようやく高
 精細なフルハイビジョンを楽しめるようになりました。映画や海外ドラ
 マで英語を学ぶという試みはいろいろと行われています。ソースネクス
 トでは、映画を英語教材化した製品を出しています。これはこれでいい
 と思いますが、前回のコラムでご紹介したように、2か国語放送を録画
 すれば、無料ですぐに勉強できます。とはいえ、自分が見たい映画があ
 ればDVDやビデオをレンタルすることになるでしょう。Blu-rayも少しず
 つではありますが広まりつつあるようです。『落下の王国―The Fall―』
 はBlu-rayで見て欲しいとターセム監督自身も言っていました。
 http://www.imdb.com/title/tt0460791/

 映画や海外ドラマの情報収集に欠かせないサイトが、このIMDb.comです。
 http://www.imdb.com

 ここには、映画に関してユーザーから寄せられたあらゆる情報が集まっ
 ています。特にTrivia、Goofsのコーナーなどのこぼれ話やツッコミは
 必見です。Memorable quotesでは、名文句や決め台詞を確認できます。
 日本の映画に対する海外ユーザーのコメントを読めば、海外の見方を知
 ることもできます。誤解や過大評価をしていることもある一方で、鋭い
 分析をしている人もいます。映画批評は、学校での日本語や英語の作文
 の勉強にも役立つはずです。ユーザーの投票によるランキングもありま
 す。
 どの作品を見るか迷ったらこのランキングを参考にしてみるのもよいで
 しょう。私は映画を見たときに、かなりの確率でIMDbでのランキングを
 予想できるようになりました。

 英語版Wikipediaで映画のタイトルを検索しても、かなりの情報が見つ
 かります。Wikipediaには、例によって、主観的な感想、単なる噂やで
 っち上げも多数入っているので、注意する必要がありますが。

 DVDなどを見るときは、聞き取れない単語、知らない単語があれば一時
 停止して、メモを取るのもいいでしょう。パソコン上のDVD再生ソフト
 などでは、一時停止、巻き戻し、字幕や音声の切り替えなどは、キーボ
 ードでも操作できます。再生ソフトのヘルプで「キーボード」を検索す
 ると見つかるはずです。操作がずっと楽になります。

 ただし、知らない単語が多すぎるとメモ取りは負担になるので、すでに
「内容がほとんど聞き取れる」人だけにお勧めします。あまり細かい点
 にこだわりすぎると長続きしません。耳が慣れていない人は、まずは
「聞き取れなくても気にしない」ことを優先すべきです。

 また、メモは取らずに、DVDを見ながら、ダンベルや握力を鍛えるハン
 ドグリップなどで軽い運動をするのもいいでしょう。言語は、じっと座
 ったままよりも、体を動かしながら覚えるのが効果的です。身体的運動
 や五感と結びついた記憶は、定着しやすいものです。デスクワークが続
 いているようなら、運動不足の解消にもなります。また画面を注視しな
 くても、リラックスして英語を聞き取れるようになれればTOEICのリス
 ニングも怖くなくなります。運動しながら字幕を追うのは困難ですので、
 がんばって耳で聞き取るしかなくなります。アクション シーンの多い
 映画や海外ドラマではアドレナリンが出て、運動意欲も高まるはずです。

 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二

 ◇仕事の始め方

 ◎翻訳の仕事の探し方

 翻訳者として看板を上げるのは簡単です。難しいのは受注すること。

 まず、翻訳の仕事があるところを探さなければなりません。その上で、
 自分以外の人に回っている仕事をこちらに回してもらう必要があります。
 企業でビジネスの現場を見てきた人ならわかるはずですが、どちらもと
 ても難しいことです。営業に慣れた人がいる組織でも大変なのです。自
 分一人で何から何までやらなければならない自営業にとっては、さらに
 大変です。他業種でフリーランスをしている人たちに話を聞くと、一様
 に、「最初のころは取引先が見つからなくて大変だった」と言われます。

 その点、翻訳者はかなり恵まれています。

 翻訳案件を企業からとってきてフリーランスに振ることを仕事としてい
 るところ-翻訳会社があるからです。翻訳会社というのは、翻訳の案件
 を抱えていて、実力のある翻訳者を欲しいと思っているのが普通であり、
 一定以上の実力を持つ人が翻訳会社にアプローチすれば、かなり高い確
 率で仕事が獲得できます。逆に、翻訳会社からでさえも仕事がとれない
 ようなら、プロとして最低限の力がないことになります。

 もちろん、翻訳会社を経由すれば単価は安くなります。大元のソースク
 ライアントが支払う料金の半分からよくて6割というところでしょう。

 どうせなら単価は高いほうがいい。そう思うのが自然でしょう。

 しかし、ソースクライアントから直接受注しようと思えば、前述のよう
 に営業をしなければなりません。どの会社になら翻訳の案件があるのか、
 外から見たのではよくわかりませんよね。外資系なら翻訳の需要がある
 はずですが、需要が必ずあるだけに社内で翻訳する体制を整えていたり、
 あるいは個人で対応できないほど大量に翻訳があっていちいち個人を相
 手にしていられないなど、条件が合うケースは意外なほどありません。
 発注側からすると、新しい取引先にはリスクもあります。既存の取引先
 なら品質などの予想がつきますが、新しい取引先だと予想外に悪いもの
 が出てくる可能性があるわけす。ですから、まったく知らないところに
 営業をかけても、門前払いされるのが普通です。今ならメールでアプロ
 ーチするなどが考えられますが、返事が返ってくることはまずないでし
 ょう。

 自分のウェブサイトを作り、そこを見たソースクライアントからアプロ
 ーチがあるのを待つという方法もあります。ただ、このような形で仕事
 が来ることはめったにありません。仕事は積極的に営業をかけてもなか
 なかとれないのですから、待っているだけで来るはずがないのは当然で
 しょう。あてにはできるものではなく、一応、用意だけしておいて期待
 せずに待つというくらいに考えるべきです。

 翻訳者になる前の職場から仕事がもらえる場合や友人から紹介があった
 場合などは、ソースクライアントから直接受注できることもあります。
 そのような幸運に恵まれたときは、ソースクライアントとの直接取引を
 してみるのもいいでしょう。

 なお、ソースクライアントと直接に取り引きできる場合でも、自分が取
 引のある翻訳会社を紹介し、そこ経由で仕事をするという人もいます。
 翻訳会社のチェッカーを含めて複数の人が訳文を見たほうがいい、自分
 が請けられなくても問題にならないなどが理由のようです。

 ◎翻訳会社の探し方

 では、どの翻訳会社にアプローチすればいいのでしょう。一言でいえば、
「自分と相性がいいところ」です。翻訳会社は膨大な数、存在し、それ
 ぞれに得意な分野も異なれば支払い単価のレンジも異なります。仕事の
 進め方も翻訳者に対する姿勢も、会社によって大きく異なります。

 翻訳会社の違いについては、大手、中小、零細にわけて一般的な傾向を
 まとめた記事を2008年6月の「読んで得する翻訳情報マガジン」に書い
 ているので、そちらを参考にしてください。

 分野については、翻訳ムック本(アルクやイカロスなどから毎年出てい
 る)の巻末にある翻訳会社リストを参考にします。このリストに載って
 いない分野は取扱いがないわけです。ただし、リストに載っていたから
 といって、その分野の仕事がたくさんあるとはかぎりません。このあた
 りは、とにかくあたってみるしかありません。

 トライアルなどの手間をかけた上で、「その分野は取扱いがあまりない
 んですよね……」と言われたのでは無駄足になると思うかもしれません
 が、そのくらいは仕方ないでしょう。事前に電話などで確認すれば無駄
 が省けますが、それはあくまで翻訳者側の都合です。翻訳会社としては、
 電話の応対に時間を使ったあげく、実力がなくて登録できない人だった
 となるかもしれないわけです。ビジネス一般としては、営業には無駄が
 つきもの。いや、大半が無駄になるのが当然なのですから、このくらい
 の無駄は気にせず、相性が悪かったら次を探せばいいと考えるべきでし
 ょう。

 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二

◇ 仕事の始め方

◎これだけはそろえよう

翻訳者には特に資格などなくてもなれます。資格・学歴・経歴いっさい
関係なし、実力が勝負の世界ですから。とは言いながら、さすがに紙と
鉛筆しか持っていない状態では仕事になりません。翻訳者のカンバンを
あげる前に、最低限、そろえておく必要のあるものをリストアップして
みましょう。

必要なものをそろえようとするとお金がかかります。自分自身の収入を
増やすためには、売上をなるべく増やして出費はなるべく減らす必要が
あります。でも、必要な機材がなければ、能率が悪かったり、最悪、受
注自体ができない可能性もあります。

どれくらいの費用をかければいいのか。これはもう、ケースバイケース
です。一番のポイントは、どのくらい稼げるのか、でしょう。でも、ど
のくらい稼げるのかは機材をそろえて仕事を始めてみないとわかりませ
ん。結局、最低限でスタートして、稼ぎを見ながら次第にそろえてゆく、
いいものに買い換えてゆくのが現実的でしょう。その場合、買い換えで
無駄になりにくい形で買っておくのが得策です。

一応、仕事を始めるにあたり揃えるべき最低限の目安は(↓)というと
ころでしょうか。

 ・パソコン
 ・プリンタ
 ・ソフトウェア
 ・定番のCD-ROM辞書
 ・メールアドレス
 ・電話

○パソコン

これから買うなら、Windows がいいでしょう。世の中、Windows が主流
です。そのため、選択肢が多く、価格も比較的安価なものがあります。
トラブったとき人に聞きやすいのもメリットです。ソフトウェアによっ
ては Windows 用しかないものもあります。

仕事として考えるとき大きなポイントになるのは、クライアント側も
Windows を使っていることが多い点です。クライアントと同じシステム、
同じソフトウェアを使っていれば、受けとった原稿や納品した原稿がう
まく開けないなどのトラブルがおきたとき、それが Windows 用と Mac
用などソフトウェアの微妙な違いによるものなのかなど余計な心配をし
なくてすみます。

すでにMacを持っているなら、とりあえず、Windows マシンを用意する
必要はないでしょう。最近は主なソフトウェアは Windows 用と Mac 用
で互換性が高くなっており、トラブルがおきる危険がかなり下がってい
るようです。Windows 用しかないソフトウェアも、Mac 上で Windows
を走らせ、その上で使うなど、ある程度は対応できる可能性があります。
仕事上、どうしても Windows が必要となったら、そのときは Windows
マシンを購入するという覚悟さえあれば十分でしょう。

パソコンはノートパソコンでもなんとかなりますが、置き場所の問題が
なければ、デスクトップをお勧めします。仕事専用で考えるなら、CPU、
ハードディスクの容量、グラフィックスの能力はそこそこで十分です。
モニターだけは奮発して大きなもの、高解像度のものを買いましょう。
翻訳者にとってモニターは作業スペース。大きければ大きいほうがいい
ものです。最近なら、解像度が1920×1080、24型といった大型のもので
も、3万円以下で買えます。翻訳の仕事に使うだけなら、解像度とサイ
ズ以外の性能はあまり気にすることはなく、安いもので十分です。

○プリンタ

プリンタも用意することをお勧めします。原稿はモニターで読み、見直
しもモニター上で行い、プリンタを使わないプロもいます。しかし、紙
に印刷することにはかなりのメリットがあります。印刷したほうが間違
いに気づきやすくなるのです。印刷とモニターでは解像度が大きく異な
るからでしょう。

○ソフトウェア

最低限としては MS Word でしょう。原稿の多くがWordファイルで送ら
れてきますから、Wordなしでは仕事になりません。

PDF で送られてくる原稿も少なくありません。Acrobat Reader(無償)
くらいはインストールしておきましょう。

そのほかは、メーラーやウェブブラウザなど、OS 付属のものでとりあ
えずは大丈夫です。

○定番の CD-ROM 辞書

辞書がさっと引けると仕事の効率があがります。逆に、辞書引きに手間
がかかると「こうだろう」で訳して地雷を踏んでしまったりします。

そういう意味では、パソコン搭載型の CD-ROM 辞書が便利です。Jamming
などの辞書ブラウザを使えば、複数の辞書を一度に引けるからです。こ
の方式なら訳語はコピー&ペーストで訳文に貼りこめますし、他人が公
開しているマクロを使えば検索する単語を入力する手間も省けます。

とりあえずなら(↓)くらいでしょう。いずれも、どの分野の翻訳をす
るにしても、持っておいて損のない辞書です。
・ランダムハウス英語辞典
・リーダーズ+リーダーズプラス
・ビジネス技術実用英語大辞典(通称「海野さんの辞書」)

割安なのは携帯型の電子辞書ですが、ずっとパソコンに向かって仕事を
する翻訳者にとってはパソコン搭載型のCD-ROM辞書のほうが圧倒的に便
利です。すでに電子辞書を持っているなら、とりあえずは電子辞書でス
タートし、仕事が取れるようになったらなるべく早くパソコン搭載型の
CD-ROM辞書をそろえるという方針でもかまわないと思います。

○メールアドレス

翻訳会社とのやりとりは、メールが中心です。原稿もメールで送られて
きますし、納品もメールで行います。仕事の打診もメールが少なくあり
ません。

メールアドレスは、有料のものを用意しましょう。いわゆるフリーメー
ルアドレスは避けること。フリーメールアドレスだと、仕事に対する姿
勢を疑われます。就職の面接にはそれなりの格好が求められるのと同じ
です。

○電話

最近は打診もメールが増えましたが、急ぎの案件など、翻訳会社から電
話で打診が入ることも珍しくありません。それだけでなく、なにかあっ
たときの連絡先として電話が必要なのは当然でしょう。

なるべく自分専用の番号を用意しましょう。携帯電話があればそれでか
まいません。家族と共用の固定電話で子どもが出たりするのはもっての
ほかです。

○その他

FAX もあればあったほうがいいですが、最近はなしでもすむことが多い
と思います。私自身、2005年くらいからこちら、FAXで原稿を受けとっ
た記憶がありません。

SDL Trados といった翻訳メモリは、翻訳メモリ必須の分野(ローカリ
ゼーションなど)に参入するのなら用意する必要があります。それ以外
の分野では不要です。

新規参入にあたってどの機械翻訳ソフトを購入したらいいかという質問
をけっこうよく見かけます。過去のメルマガでも書きましたが、翻訳者
にとって機械翻訳ソフトは百害あって一利なしです。機械翻訳ソフトを
買うお金があったら辞書を買いましょう。

その他、あれば便利なソフトウェアは山のように存在しますが、翻訳者
として仕事を始めるという段階ではなくてもいいでしょう。
 

 

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