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■ Coffee Break -- 英詩で味わうみすゞの世界(2)

エミリー・ディキンスンというアメリカの女性詩人 (Emily Dickinson
1830-1886)をご存知でしょうか? 生前出版された詩は僅か10編足らずで、
誰に知られることもなくひっそりと生涯を終えましたが、死後、20世紀
半ばに1,775編の詩を収めた『エミリー・ディキンスン詩集』が出版され、
一躍脚光を浴びました。以来、今日まで高く評価され、アメリカを代表
する詩人の一人です。

深く短い詩の中に自然、愛、神、孤独、不安、絶望をうたったエミリー。
彼女は生涯独身で、ボストン近郊のアマストという生地を離れず、一度も
遠出することなく、蟄居して暮らしたそうです。驚くべきことに、窓から
眺めるだけで、ほとんど外の世界を旅することもなかったエミリーの詩は
森羅万象をうたい、全世界を自由に駆け巡ります。小さな世界から大きな
宇宙を捉える直観力、イマジネーションの力は、童謡詩人・金子みすゞ
(1903-1930) と同種の才能ではないかと思います。死後に再評価され、
復活を果たした境遇でも似ていますね。

エミリーの有名な詩を1編、ご紹介しましょう。

 HOPE is the thing with feathers
 That perches in the soul,
 And sings the tune without the words,
 And never stops at all,
  
 And sweetest in the gale is heard;
 And sore must be the storm
 That could abash the little bird
 That kept so many warm.
  
 I've heard it in the chillest land,
 And on the strangest sea;
 Yet, never, in extremity,
 It asked a crumb of me.


                from The Complete poems of Emily Dickinson


<大意>
 希望には羽がある
 魂にとまり
 歌のないしらべを
 歌い続ける

 風吹きすさぶ時こそ
 甘美に歌い
 人々を暖める小鳥を
 困らせないで 嵐よ

 凍れる土地や見知らぬ海で
 希望という小鳥は歌う
 そしてどんなにつらくとも
 わたしにパン切れひとつ乞わず


さて、前置きが長くなりましたが、みすゞの英訳詩です。今回も D. P.
ダッチャー氏が英訳した『金子みすゞ童謡集 Something Nice』(1999.6
JULA出版局刊) からの引用抜粋です。

英訳を企画・依頼した矢崎節夫氏(金子みすゞ研究の第一人者)は、
韻を踏んだリズム感のあるダッチャー氏の英訳詩を、誰でも口ずさむ
ことができる「現代のマザーグース」と評しています。


The Sad Times         さびしいとき

 When I'm feeling sad     私がさびしいときに、
 Strangers don't know.     よその人は知らないの。

 When I'm feeling sad     私がさびしいときに、
 My freinds all laugh     お友だちは笑うの。

 When I'm feeling sad     私がさびしいときに、
 Mama spoils me.        お母さんはやさしいの。

 When I'm feeling sad     私がさびしいときに、
 Buddha feels sad.       仏さまはさびしいの。


子供の目線の信心が見事に描かれていて、個人的に好きな詩です。
あるいは、仏さまの表情は見る者の心を映す鏡なのでしょうか。


It's Weird               不思議

 It's weird how             私は不思議でたまらない、
 Shiny silver raindrops fall      黒い雲からふる雨が、
  from black clouds.          銀にひかっていることが。

 It's weird how             私は不思議でたまらない、
 Silkworms turn white          青い桑の葉たべている、
  when they eat green mulberry leaves. 蚕が白くなることが。

 It's weird how             私は不思議でたまらない、
 Moonflowers open at dusk        たれもいじらぬ夕顔が、
  without a poke from anyone      ひとりでぱらりと開くのが。

 It's weird how             私は不思議でたまらない、
 People I ask laugh and sky,      誰にきいても笑ってて、
  "Nothing strange in that."      あたりまえだ、ということが。

             『金子みすゞ童謡集 Something Nice』より


山口県大津郡仙崎(現・長門市仙崎)という小さな漁師町に生まれ育った
みすゞは、20歳の頃、下関の上山文英堂書店の支店で働き始めます。大好
きな本に囲まれて一人きりの静かな店番は、彼女の空想の王国だったよう
です。この頃から「みすゞ」のペンネームで童謡雑誌への投稿も始めてい
ます。

取り立てて何もない小さな町の、平凡な日常の中に新鮮な驚きと喜びを
見い出す、みすゞの旺盛な好奇心、鋭い観察力はどうでしょう。彼女の詩
の中には確かに「子供」が住んでいます。モノと刺激の溢れかえる現代に
生きる私たち、くたびれた大人は、生活の便利さと引き替えに「感動する
力」を失いつつあるのではないでしょうか。


                             (竹)


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