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■ 文芸愛好家に贈る「新潮社 シェイクスピア大全 CD-ROM版」

これまでありそうでなかった、面白い企画のCD-ROMが登場しました。
シェイクスピア全戯曲(37篇)の、ほぼ全ての名立たる邦訳(180本)
を網羅し、原文の台詞単位で読み比べることができるというもの。
坪内逍遥、小田島雄志の個人全訳をはじめ、福田恆存訳、さらには森
鴎外訳など、既に絶版となって入手不可能なものまで一枚のCD-ROMに
収録されています。また、原文は、シェイクスピア研究に欠かせない
'The Arden Shakespeare Second Series Play Texts' が収められて
います。

では、『ハムレット』より、有名な一節《To be, or not to be, that
is the question:》の訳を読み比べてみましょう。

【小田島雄志 訳】
 このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ。

【松岡和子 訳】
 生きてとどまるか、消えてなくなるか、それが問題だ。

【福田恆存 訳】
 生か、死か、それが疑問だ。

【木下順二 訳】
 このままにあっていいのか、あってはいけないのか、それが知り
 たいことなのだ。

【久米正雄 訳】
 生か死か……それが問題だ。

【坪内逍遙 訳】
 世に在る、世に在らぬ、それが疑問ぢゃ。

【横山有策 訳】
 存(なが)らふべきか、それとも、存(なが)らふべきでないか、
 問題はそれだ。

簡単なフレーズですが、こうして並べてみると翻訳は各人各様。バリ
エーションは豊富ですね。

こと文芸翻訳に関しては、翻訳次第で作品の印象がガラリと変わる
ことがあります。たとえば目下、書店で平積みされている J.D.サリ
ンジャーの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(ライ麦畑で捕まえて)
なども、往年の野崎孝訳と最新の村上春樹訳では随分と違うようです。

学習院大学の中条先生の評によると「三十年前に野崎訳で読んだとき、
ホールデンは、下町のべらんめえ口調でまくしたてるやんちゃ坊主と
いった感じだったが、村上訳では、山の手言葉でああでもないこう
でもないと愚痴る引っ込み思案の少年という印象」だとか。何となく
村上新訳のホールデン少年像の方が今の時代にマッチしているような
気がしますね。

文芸翻訳には、時代の空気が色濃く織り込まれると言えるでしょう。
「新潮社シェイクスピア大全」によって、逍遙以来百年以上にわたる
シェイクスピア翻訳の歴史、研究成果を俯瞰し、読み比べられるのは
実に興味深いことです。

また、当CD-ROMは単なるテキストデータベースに留まらず、「誕生」
「病気」「戦争」などシェイクスピアをより深く面白く読むための
キーワード50語の解説を行った上、アーデン版原文の関連箇所に
リンクさせています。

さらに、シェイクスピアに関わる豊富な写真、絵画、実際の上演舞台、
映画、音声(江守徹主演『ハムレット』全編収録)などオーディオ・
ヴィジュアル資料も満載です。

文芸マニア垂涎の一枚、32,000円・・・買うべきか、買わざるべきか
・・・それが問題です。

                            (竹)

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【新潮社 シェイクスピア大全 CD-ROM版 のガイド】*ハイブリッド版
   2003年4月発売 価格32,000円(税別)→特価28,800円(税別)
  → http://www.nichigai.co.jp/translator/shakespeare.html


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