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■ 翻訳読書ノート18                  北田敬子

「若い旅路」

若者の無鉄砲な旅には危うさと可能性が共存している。一歩間違えば落
命やむなしだが、幸運が重なればとんでもないところまで行ける。「幸
運」は旅行者自身の行動力と人間的な魅力が引き寄せるものであること
も見逃せない。映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』公開に合わせ
て「増補新版」の出たエルネスト・チェ・ゲバラ著『モーターサイクル
南米旅行日記』(棚橋加奈江訳 現代企画室 2004)と、旅の同行者で
あるアルベルト・グラナード著『トラベリング・ウィズ・ゲバラ』(池
谷津代訳 学習研究社 2004)を併せて読むとそのことが実感できる。

キューバ革命の雄にして反政府活動支援に潜入したボリビアで処刑され
たチェ・ゲバラは、ひどい喘息持ちの医学生だったことがこの二書に余
さず描かれている。ゲバラとグラナードが1951年から52年にかけてアル
ゼンチンのブエノス・アイレスからベネズエラのカラカスまで、最初は
中古オートバイで、後はトラック・船舶・列車・筏・丸木船・水上飛行
機を乗り継いでヒッチハイクして駆け抜ける様子は、南米大陸縦断とい
うダイナミックな背景に知的好奇心と大らかな人間性の裏付けを得て、
類い希な青春旅行記をなす。旅のあとアレルギーについての論文を書い
て医学部を卒業したゲバラ。ベネズエラに留まりハンセン病治療・研究
の専門家としての道を歩み始めるグラナード。二人は特権性を十分自覚
しながら南米奥地の人々の暮らしや自然を科学者ならではの眼差しで観
察している。

二人の旅が異なる個性の相互補完の好例を示すように、この二冊も同じ
役目を果たす。24歳のゲバラは洞察・直感・行動力に優れ、30歳のグラ
ナードは実務・調整・緻密さに力を発揮する。二人とも陽気なラテン気
質の好漢で名サッカープレイヤーであることなど、両書を併読すること
でその全体像が浮かび上がってくる。若書きの新鮮さは切ないほどだ。
映像の魅力に触発され、この二書を手がかりに、世界の仕組みに開眼し
ていく日本の若者たちが現れるのではないだろうか。少し分かりにくい
ところもある棚橋訳ではあるが、ゲバラの若さは何より眩しい。


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