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■ 翻訳劇のフシギ・翻訳劇の魅力 11          今井克佳

廃校のファンタジー
         ――アートネットワーク・ジャパン+Ort-d.d プロデュース
                            『サーカス物語』

東京都心部では少子化のため小中学校の廃校が多くなった。そうした廃
校が様々な文化活動の拠点として利用され始めている。「にしすがも創
造舎」は豊島区の旧朝日中学校。芸術文化活動を通して国際文化交流の
促進を目的とする NPO法人「アートネットワーク・ジャパン」が主に演
劇の稽古場として運営している。

『モモ』や『果てしない物語』で知られるミヒャエル・エンデが遺した
いくつかの戯曲のうちのひとつが、この「にしすがも創造舎」で上演さ
れた。『サーカス物語』。演出は、Ort-d.d の倉迫康史である。建築現
場の空き地に残ったサーカス一座の面々。なかには知恵おくれの少女エ
リもいる。サーカスはすでに解散しており一座は近くの工場の宣伝活動
をするかどうか決断を迫られている。

やがてピエロのジョジョが、エリにせがまれて語る「お話」の中に舞台
は移る。エリはここでは「鏡の国」の王女、ジョジョは「明日の国」の
ジョアン王子である。二人は恋をするが、大蜘蛛のアングラマインによ
って国を奪われた王子は地上に追われ、王女もまた王子を求めて不死の
身を捨てて地上に降り、二人はお互いを知らぬままサーカスの一座に加
わる。

体育館の中に組まれたセットは、空間の広がりを生かし、鉄パイプで高
く組み上げられ、物語の大枠である、サーカス跡地の寂れた雰囲気を良
く出している。音楽は生演奏。しかし劇場として作られた空間ではない
ので、一部マイクを通しても声が通らず聞こえにくいのは残念。

王女の愛の力によって最後は自分の王国「明日の国」を大蜘蛛から取り
戻す王子。善悪二元論といい、昔話の構造そのものといい、いかにも理
想的で単純。が、最後に枠である建築現場に話が戻り、工場との契約書
を破った芸人たちに、クレーンや機械の轟音がせまるところで暗転。こ
の演出が強調した苦い結末は、むしろ現在への問いかけとしてふさわし
い。

廃校に立ち上げられた「創造」と名のつく施設での、廃されたサーカス
と「創造」の物語。現実の場と物語のリンクを、身を以て体験すること
は、演劇の醍醐味のひとつである。「創造」は「明日」を取り戻せるの
だろうか。

◆上演記録
アートネットワーク・ジャパン+Ort-d.d プロデュース『サーカス物語』
http://anj.or.jp/anj/sozosha/topics/200508_01.html
原作 ミヒャエル・エンデ
翻訳 矢川澄子
演出 倉迫康史(Ort-d.d)
2005年10月7日(金)~10日(月・祝)
にしすがも創造舎特設会場
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