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■ 翻訳劇のフシギ・翻訳劇の魅力 9         今井克佳

『尺には尺を』

「子どものためのシェイクスピアカンパニー」なのだそうだ。毎年夏
に上演してもう11作目(再演含む)。評判なので覗いてみた。平日
ソワレとはいえ、客席にお子様はほとんどいない。まあ後ろの列の行
儀と頭の悪そうな男子学生らしき方々が、まあ「お子様」ともいえた
が、その方々が「子どものためじゃないじゃん」と幕間に話していた
がむべなるかな。

『尺には尺を』Measure for Measure はシェイクスピアの「問題劇」
の一つだそうだ。「問題劇」とは、パンフによれば「見終わって、す
っきりしない」物語のことらしい。ウィーンの公爵ヴィンセンシオは、
目論みあって忠実な部下アンジェロに市政を任せ、旅に出る。とみせ
かけ実は修道士に身をやつし、アンジェロがどんな政治を行うか見守
っているのだ。脚色家はこれを「アンジェロ観察旅絵日記」と名付け
笑いをとる。

ストーリーの骨格を保ちながら、脇筋をそぎ落とし、現代的な言葉と
解釈で面白く脚色したところが「子どものため」ということらしいが、
決して「子どもだからあたりさわりなく、可愛らしく」と媚びてはい
ない。市政を任されたアンジェロは形骸化していた男女関係に関する
古い法律を持ち出し、結婚前に女を孕ませた男クローディオに死刑を
言い渡す。ところが兄のクローディオを救おうと命乞いに来た妹の修
道尼イザベラに恋をしてしまい、兄の命を救う代わりに一夜を共にせ
よとせまる。

うーん、現代にもありそうなセクハラ話。さすが「子どものため」。
意外とこういう方がきょうびの小学生は集中するかも。イザベラの危
機に、突如現れた謎の修道士(実は公爵)は、解決策を講じるのだが・
・早い展開、あっという間に結末。しかしこりゃほんとに納得がいか
ない終わり方だ。今回の脚色は、非常に面白い結末の解釈を付け加え、
原作ではすっきりしない物語を皮肉たっぷりの現代的風刺にしてみせ
た。

黒づくめの登場人物たちがクラッピング(拍手)しながら登場・退場
する演出や、抽象的でシンプルな舞台装置、多くが二役を演じる俳優
の技量。とてもスタイリッシュな舞台で、むしろ大人に薦めたい「子
どものためのシェイクスピア」だ。

【上演情報】『子供のためのシェイクスピアカンパニー 尺には尺を』
東京公演 7月13日~19日(地方公演あり)
作 W・シェイクスピア  翻訳 小田島雄志
脚色・演出 山崎清介
http://homepage1.nifty.com/j-ishikawa/kodomo/company/
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