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■ 翻訳劇のフシギ・翻訳劇の魅力 9           今井克佳

『まちがいの狂言』

勘三郎襲名で沸く五月の歌舞伎座では、野田秀樹脚本・演出の演目が上
演され、続いて七月には蜷川幸男演出のシェイクスピア『十二夜』が歌
舞伎となって初演されるとのこと。伝統芸能と現代劇・翻訳劇のコラボ
レーションは急速に広がりつつある。面白い時代だ。

この『まちがいの狂言』も、そうした試みの早い時期の結実である。シ
ェイクスピア『間違いの喜劇』を故高橋康也が狂言仕立てに翻案し、ロ
ンドン在外研修の経験もある野村萬斎が演出、彼を含めた同門の狂言役
者たちによって2001年に初演され、ロンドン・グローブ座というシェイ
クスピア劇のお座敷で上演を果たしている。今回は再演だ。

世田谷パブリックシアターの客席に入ろうとすると、黒い面をつけた不
気味な存在に、いきなり「ややこしや」と声をかけられる。場内はすで
に舞台である「黒草の国」(原作ではエフェソス)の世界なのだ。ステ
ージは能舞台ではなく、橋懸けもない。グローブ座での上演を前提とし
て作られた舞台装置と美術は能舞台のシンプルさを保ちつつ左右対称の
独自の意匠である。

内容は抱腹絶倒。幼い頃に生き別れとなった瓜二つの双子の主従二組。
それぞれ「白草(シラクサ)」と「黒草」に住み成長するが、片割れを
探す旅に出た「白草」の主従が「黒草」の国に迷いこみ、混乱が起こる。

双子の主従は石田幸男と野村萬斎が二役を兼ねるが、仕草・声音・面・
登場の方向などをうまく使い分けるので、見巧者の観客には容易に区別
がつく。狂言独特の衣装やせりふの言い回しなど、狂言に親しんだ者に
はその移植の妙も楽しい。が、狂言にはない、現代劇風の演出やお笑い
芸能の引用と思われる要素も見られ、狂言を知らない層にもとっつきや
すい。複雑に絡み合った伏線が最後にはすべて結びつき大団円となるシ
ェイクスピアの物語の力にも驚嘆する。

シェイクスピアと狂言はなぜこんなにも相性がいいのか?いや、そうで
はなくこの作品を作り上げた才能たちの勝利なのか。文化混交であると
ともに、統一されたエンターテイメント・ドラマとして成立している見
事な達成である。

【上演情報】『まちがいの狂言』
世田谷パブリックシアター 2005年5月8日~22日
原作 W・シェイクスピア 「間違いの喜劇」
作 高橋康也 演出 野村萬斎 出演 野村万作 野村万之介 
     野村萬斎 石田幸男 他
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