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■ 翻訳劇のフシギ・翻訳劇の魅力 8          今井克佳

  『亜門版・ファンタスティックス』

たまにはミュージカルの話をしよう。

東京では『キャッツ』を始めとする劇団四季作品や、『レ・ミセラブル』
の東宝など、大規模輸入ミュージカルが人気を博しているが、これはそ
ういった派手なミュージカルではない。トム・ジョーンズ(脚本・作詞)
とハーヴェイ・シュミット(作曲)が45年前、オフブロードウェイにか
けたこの作品は、8人の出演者(そのうち一人は「黙者」Mute と称して
黒子に徹する)でこじんまりと構成された、若者の愛と成長をテーマに
したメルヘンである。しかしその後40年以上にわたってブロードウェイ
でロングランしたというのだから並大抵の作品ではない。

若者が恋を経て成長し、大人の愛にたどりつくには、大切なものを失わ
なければならない。たとえそれが幼い日のかけがえのない思い出という
宝物であっても。そんな切ない、青春を思い起こす心を持ち続けている
人の胸に迫る、真理を歌っているのだ。

『亜門版』は2003年の初演に続いての再演。ブロードウェイで初の日本
人演出家デビューを飾った凱旋公演としては地味だ。斬新な演出に才気
を感じる宮本亜門だが、今までの演出作品には毀誉褒貶もあるようだ。
今回は、何よりも出演者の歌唱が東宝や劇団四季に比較して、平均して
低調と感じられてしまうのが残念。

また歌詞の翻訳も難しい問題だ。たとえば美しいラストナンバー「トラ
イ・トゥ・リメンバー」Try To Remember の原詩を見ると、頭韻脚韻を
多用した、まさに歌われるべき詩なのだが、いかに優秀な翻訳者であっ
ても日本語で同様の効果を再現しきるのは難しい。結果、この珠玉のよ
うな名作の魅力は幾分かそがれてしまっているのだと思う。

宮本亜門の演出はそれを幾分かでも補ってくれた。舞台装置を極限まで
抑えた小さな舞台で俳優を演じさせ、観客の想像力を喚起する。特に
「黙者」がディズニーの妖精さながらアクロバティックに動き回り、金
銀の紙吹雪を降らせる趣向にはうっとりさせられた。日本でももっとこ
ういう小規模ミュージカルが実力をつけ、人気を得ることを願ってやま
ない。

上演情報 『亜門版・ファンタスティックス』
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/04-2-4-56.html
世田谷パブリックシアター 2005年2月27日(日)~3月13日(日)
(地方公演あり)
脚本・作詞:トム・ジョーンズ  作曲:ハーヴェイ・シュミット
演出:宮本亜門  翻訳:山内あゆ子  訳詞:小池一子
上演台本翻訳:宮本亜門・北村直子

今後期待する翻訳劇上演
『メディア』 シアターコクーン 2005年5月6日(金)~5月28日(土)
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/media/index.html
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