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■ 翻訳劇のフシギ・翻訳劇の魅力 7          今井克佳

『喪服の似合うエレクトラ』

昨年、新国立劇場で上演された『喪服の似合うエレクトラ』(ユージン・
オニール作)が、第4回朝日舞台芸術賞のグランプリを受賞した。遅れ
ばせながらこの作品についてレポートしておくことにしたい。

ギリシャ悲劇『エレクトラ』の設定を南北戦争時代のアメリカに設定を
変え、ある家族の歴史を通して、これでもかと人間の愛憎の応酬を描く
心理劇。一幕、しょっぱなから、母クリスティン(三田和代)と娘ラヴ
ィニア (大竹しのぶ)の緊迫した対立に息もつけない。あまりにも表情
が恐ろしく、硬いのではと思うが、実はト書きには「仮面のような表情」
と書いてあるとのこと。

二幕に入り弟オリン(堺雅人)が登場し、姉と母への愛に翻弄されなが
ら、神経を病んでいく過程を悲しいながらもおかしみを交えて演じる。
愛ゆえの復讐に継ぐ復讐の連鎖はとどまることを知らず、ついには姉弟
それぞれの婚約者にまで降りかかろうとする。

作品の書かれた1920年代のアバンギャルド芸術を彷彿とさせるような斜
線と歪みを持つ舞台装置(美術:島次郎)も秀逸。そして劇中にはアメ
リカ国旗がしばしば現れる。母親の愛人である船長アダムを姉弟が殺害
するシーンで、船のマストに翻る星条旗。軍人である父エズラの棺にか
けられた星条旗。そして父の棺が消えても部屋に敷かれたまま姉弟の争
いの道具となる星条旗。それらを見ると、現代史におけるアメリカ合衆
国の位置を思い起こさずにはいられない。

復讐の連鎖劇を終演(終焉)させるには、ラヴィニアがしたように自ら
を罰するため屋敷の中に永遠に閉じこもる他ないのか。神話や家族の心
理劇を超えて、この問いは現代史を生きる私たちにまで届いている。休
憩二回、3時間40分の濃厚なマチネを見終わるとすでに外はすっかり
暗くなっていた。

上演:新国立劇場中劇場 2004年11月16日(火)~12月5日(日)
作:ユージン・オニール 翻訳:沼澤洽治 演出:栗山民也
出演:大竹しのぶ 堺雅人 吉田鋼太郎 津嘉山正種 三田和代 他
http://www.nntt.jac.go.jp/frecord/play/2004%7E2005/electra/electra.html


【今後期待する翻訳劇上演】
・『コーカサスの白墨の輪』世田谷パブリックシアター
1月30日(日)~2月20日(日)※まつもと市民芸術館でも上演あり。
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/04-2-4-48.html

・『Shakespear's R&J』パルコ劇場
2月1日(火)~2月20日(日) ※全国公演あり
http://www.parco-play.com/web/page/information/r_and_j/
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