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 ■ パソコンからアクセスできる電子辞書のメリット    田村 洋一

  いま日本国内の電子辞書市場は新しい段階に入りました。メーカー4
 社の競争は熾烈で、一般社会人・学生向け製品の売れ筋は実買価格1~2
 万円台、高級機でも5万円を切るという消耗戦の様相を呈しています。
 収録コンテンツの数の多さを競い合う時代は終わり、ターゲットの購買
 層に合わせた実用本位のコンテンツだけに絞り込んだ製品が増えていま
 す。もともと基本性能では差異化が難しい機器だけに、各社は生き残り
 を賭けてコストダウンに努めながら、機能の選別と充実、品揃えの見直
 しを進め、購買層の棲み分けを狙っているようです。

  そんな状況下で興味深い新製品が登場しました。SII(セイコーインス
 ツル)が2008年11月19日に発表した「SR-G9001」という機種です。ニュー
 ス系Webサイトでも紹介されていたので、ご覧になった方もあるでしょう。
 どこが面白いかというと、私がこのメールマガジンNo.106(2006年5月)の
 コラム「再び、電子辞書について(下)」で提案した仕様を、初めて、し
 かも完全に実現した製品(SIIに拍手!)で、電子辞書の利用形態を変え
 る可能性があるからです。そのとき書いた文章の一部を再掲します。

  「私のように仕事の大部分をパソコンの画面上で行っている人間は、
 現在の電子辞書に魅力を感じるものの、実際に使うのは面倒です。そこ
 で、メーカーに是非検討していただきたいのが、パソコンの外部接続機
 器としての電子辞書です。具体的には、電子辞書をUSBインタフェース
 でパソコンに接続し、パソコンから辞書の検索ができるようにし、従来
 通り携帯用として電子辞書単独でも使用できるようにします。…(中略)…、
 パソコン側では小さな検索画面を用意して、電子辞書の画面をシミュレー
 トするだけにします。使いたい辞書の選択、語句の入力、検索結果の表
 示、検索に伴う電子辞書との通信という4機能があればよいので…」(以下省略)

  つまり「SR-G9001」は、通常の電子辞書であるだけでなく、パソコン
 (以下、PC)とUSB 1.1インタフェースで接続し、PC上で動く専用検索ソ
 フト「PASORAMA」を介して、PC側から電子辞書内にあるすべての辞書を
 利用できる製品です。現在、検索ソフトはWindows 2000/XP/Vistaに対
 応しています。

  PCと連携動作するメリットをいくつか列挙してみましょう。

 1)検索語はPCの画面上でコピー&ペーストすればよく、作業能率が向上する。
 2)検索ソフトさえインストールしておけば、どのPCでも自分の辞書が使える。
 3)オフラインの場合と同様に、電子辞書の豊富な検索機能を活用できる。
 4)辞書ごとに複数の検索ソフトを併用する煩わしさから解放される。
 5)PCに多数のCD-ROM辞書をインストールする必要がない。企業の場合は
     辞書ソフトの資産管理が不要になる。総合的な導入コストも下がる場合が多い。
 6)PC単独で多数の辞書を持つ場合に比べてPCの負荷(CPU/メモリー/HDD)が
     軽くなるので、処理能力が限られる低価格PCや旧型PCでも容易に利用できる。
 7)PCから供給されるUSBバスパワーで充電しながら駆動できるので、電子辞書
     の電池の消耗を気にする必要がない[※注]。

  そのほか、自分がPCで作成した用語集のような表データ(CSVテキスト)
 を専用データ形式に変換して本体に取り込み、ユーザー辞書として登録
 するためのツールも提供されています。このユーザー辞書も標準搭載の
 辞書類と同等に検索できます。

  しかし、留意すべきこともあります。第1に、この製品は「ビジネス
 パーソン向け電子辞書」の位置づけであり、プロの翻訳者としては肝心
 の辞書コンテンツが物足りません。オプション辞書カードの追加は可能
 ですが選択肢が限られます。今後は専門家向け電子辞書でもPC連携機能
 を採用してほしいものです。第2に、海外で使用する場合は要注意です。
 検索ソフトの実行環境が日本語版Windowsではない場合、日本語の表示
 はできても入力ができないという制約がありそうです。第3に、電子辞書
 は相当に堅牢で耐久性がありますが、紛失したりすれば全ての辞書を失
 うことになります。第4に、企業によっては、情報漏洩とウイルス感染
 というセキュリティ上の懸念から、社内のPCにUSB機器を接続すること
 を禁止している場合があります。これはUSBメモリーを警戒したポリシー
 なので、電子辞書は安全であることを事前にネットワーク管理者に確認
 してもらうとよいでしょう。第5に、一般のPCではなくシンクライアント
 (Thin-Client)を利用している環境では、USBインタフェースを使用でき
 ないことがあります。

  私には電子辞書業界にお願いしたい機能的な要望があと2つあります。
 1つは、オプション辞書カード(媒体はSDカード)のデータ形式の業界標
 準を策定し、メーカーが異なっても同じオプション辞書カードを利用で
 きるようにすることです。
 もう1つは、電子辞書で数KB程度の日本語/英語のテキストを入力して、
 それをPCにアップロードできるようにすることです。最近、文具メー
 カーのKING JIMから携帯型テキスト入力専用機「pomera」が発売され、
 隠れたヒット商品になっています。あるいは企業でのノートPCの利用
 制限が背景にあるのか、メモをとる感覚で、携帯電話機の10キーでは
 なくフルキーボードで、テキスト入力したいという需要は少なくない
 ことがわかります。電子辞書の付加機能としても必然性があるのでは
 ないでしょうか。そのためには、まず電子辞書のQWERTYキーボードに
 スペースキーを追加しなければなりません。

  さて、市販の電子辞書をはるかに越える範囲の辞書・事典類を必要
 とする専門家には、かさばらず、3万円台から買える「ミニノートPC」
 を辞書専用機にするという選択肢もあります。これについては、次回
 に触れたいと思います。

 ●注:「SR-G9001」をPCからのUSBバスパワー(USBインタフェースで電
 源も供給すること)で充電しながら動作させられることについては、執
 筆時点ではSIIのWebページとカタログに明記されていませんが、同社
 に確認済みです。この場合、電子辞書にACアダプタを接続する必要は
 ありません。ただし、ノートPCに接続して長時間利用する場合は、PC
 の電池の負荷が高くなるので、PCをACアダプタで駆動すべきです。こ
 れは他のUSB接続の外付け機器の場合と同様です。

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