忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 ■ (新連載)日英語の性質の違いが翻訳に及ぼす影響(その1)
                                                         小川 明

 このコラムにおいて翻訳というものを言語研究者の目から眺めてみたい。

 私自身には翻訳の経験はない。しかし日本語と英語の文を理解していく
 時、私たちはどのような方法でそれを行っていくのか(いわゆる「文理
 解」の問題)を調べていくうち、翻訳の問題に突き当った。

 以下、あくまでも翻訳を言語の観点から見るという方針をとりたい。
 翻訳者にはそれぞれの哲学があり、一筋縄ではいかないと思うが、ここ
 では、いかにしたら自然な日本語に移し変えることができるかというこ
 とに焦点を絞りたい。

 同時に、なぜそのようにすると自然な日本語になるのかを二つの言語の
 違いにまで遡って考えてみたい。

 まず具体例をあげてみよう。関係代名詞節を含む文である。以下(1)-(3)
 は、安西徹雄『英文翻訳術』(ちくま学芸文庫)よりとった。

 (1) A great many Americans [ who had never paid much attention
 to Japan, and probably would have gone through life ignorant of
 and uninterested in Japan ], were required to take notice when
 the war came.
 
 直訳すると、次のようになる。
 
 (2) [日本には大した注意は一度も払ったことがなく、おそらく日本に
 ついては無知で興味のないまま生涯をすごしていたであろう]非常に多
 くのアメリカ人は、戦争が来た時、注意せざるをえなくなった。

 この日本語には不自然さを感じる。どうしてだろうか。そこで安西(以
 下敬称を略す)は、これを次のように翻訳する。

 (3)大部分のアメリカ人は、日本のことなど大して注意を払ったことも
 なく、そしておそらくは、日本のことなど何も知らず、興味もないまま
 生涯を終っていたにちがいない。ところがそういうアメリカ人も、戦争
 になってみると、いやでも日本に注目せざるをえなくなったのである。

 どこが異なるであろうか。直訳におけるように関係代名詞節を後から掛
 けないで、英語の順序に従って訳している。
 
 もうひとつ例を見てみよう。(4)-(6)は中村保男『英和翻訳の原理・技
 法』(日外アソシエーツ)による。

  (4)  After walking about three miles we crossed a long bridge
 [ under which muddy water swirlingly flowed from the mountainous
 regions [ where it had rained very heavily the previous night ] ].

 直訳すると、

 (5)  [ [ 前夜に豪雨が降った ] 山岳地帯から渦巻くようにして濁流が
 下を通っている ]長い橋を私たちは、3キロほどあるいてから、渡った。
 
 自然な訳にすると、

 (6) 私たちは3キロほどあるいてから、長い橋を渡った。橋の下には、
 [前夜に豪雨が降った]山岳地帯から出てくる濁流が渦巻くようにして流
 れていた。

 いったん切ってしまって、英語の順序どおりに訳している。

 さてここには、2つの問題が含まれる。
 なぜ私たちが不自然さを感じたのか。
 そして、どのようにこの不自然さを回避したらよいのか、である。

 以下当連載において順次考えてみたい。

PR
この記事にコメントする
Name:
Title:
Mail:
URL:
Color:
Comment:
pass: emoji:Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
最新CM
[12/09 山本ゆうじ]
[12/07 Lisa Hosoi]
[09/29 NONAME]
[09/29 NONAME]
[03/13 エラリー]
カレンダー
06 2019/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
カウンター
忍者ブログ [PR]
Copyright(C) TranRadar(トランレーダー)ブログ All Rights Reserved