忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

■ 「山本ゆうじの翻訳道具箱」(その23)        山本ゆうじ

◆翻訳ソフトでの翻訳作業の実際

 先日『クジラの島の少女』("Whale Rider")のDVDを見ました。お勧め
です。
 http://us.imdb.com/title/tt0298228/

 それはさておき。今回は、翻訳ソフトでの作業の実際について簡単に
ご紹介します。

 翻訳者が翻訳ソフトを使うときは、対訳エディタで作業するのが基本
です。対訳エディタとは、原文と訳文を左右に並べて表示しながら翻訳
作業を行うためのツールです。ソフトによっては別の名前で呼ばれてい
ることもありますが、基本的な機能は同じです。対訳エディタを使用し
ないワークフローも考えられますが、後述するように、総合的に見た場
合に非効率的であるため、お勧めしません。

 翻訳者が翻訳ソフトで作業する手順については、いくつかの考え方が
あります。ここでは翻訳ワークフロー SATILA の立場から、前処理、対
訳作業、後処理の3つの手順としてみた場合をご紹介します。

◆前処理

 省略が多い文や1文が長すぎる場合は、翻訳ソフトがうまく解釈できな
いことがあります。このような文章をうまく訳せるように、翻訳ソフト
による処理の「前に」修正する工程を、「前処理」と呼びます。以前は
前処理にある程度時間をかけないと、うまく翻訳できないことがありま
した。最近では翻訳エンジンがさまざまな文に対応できるようになって
きたため、前処理はほとんど必要ありません。ただし長い複雑な文章で
は、処理に時間がかかったり、修飾関係が正しく認識されなかったりす
ることがあります。翻訳ソフトによっても異なりますが、このような場
合は、文の一部をグループとして翻訳処理するよう指定したり、複数の
文に分割したりすることで、より早く、また正確に翻訳処理できます。

 文を構成する複合語が長いために、文が長くなることがあります。こ
の場合、長い単語であっても1つの用語として定義できるものであれば、
辞書登録をすることで正確に翻訳することができます。

◆対訳作業

 前処理の後に、対訳エディタでの作業を行います。翻訳者が翻訳ソフ
トでつまずく理由の多くは、マニュアルやヘルプをろくに読まず、対訳
エディタ作業での習熟を軽んじている点にあります。ボタンを1つ押せば
済む翻訳サイトと異なり、翻訳者の場合は対訳エディタでの作業が肝要
です。対訳エディタでは1文ずつ翻訳処理とその修正を行っていきます。

 対訳エディタで行う最も頻繁な作業は、おそらく訳語指定でしょう。
いくつかの候補から適切な訳語を選択します。また、訳語の品詞判定が
誤っている場合は、手動で品詞指定を行います。構文解釈が誤っている
場合は、文全体に対して別解釈をさせることもできます。翻訳ソフトを
使い始めた初期は、修正にかなり時間がかかるでしょう。しかし、ここ
での作業で行った優先順位などの指定は学習され、後の翻訳作業に反映
されます。このため、作業が進むにつれ、修正の労力は少しずつ減って
いきます。翻訳の分野や対象の文書によっても異なりますが、辞書自体
や学習データに十分に情報が蓄積されれば、自動化にかなり近づけるこ
ともあります。

 対訳エディタを使用しないワークフローでは、これらのフィードバッ
クがないため、どれだけ翻訳作業をしても効率や精度が向上することは
ありません。

◆後処理

 翻訳ソフトでは、文法的な解釈を間違えたり、表現が不自然になった
りすることがあります。そのため翻訳者が使用する場合は、翻訳ソフト
による処理の「後で」、文法を確認し表現を訂正する必要があります。
これを「後処理」と呼びます。特に IT 関連の翻訳では、構文が比較的
単純で語彙が限定されています。また表現も平明かつ簡潔です。このよ
うな原文に対しては、かなりの精度が得られ、場合によってはほとんど
訂正しなくても使える場合もあります。とはいえ、表現の不自然さはど
うしても残るものです。表現の不自然さについては、「翻訳ソフトのく
せ」が反映されていることがあり、規則的なものであれば置換フィルタ
によって自動的に修正することができます。

 これまで翻訳ソフトがうまく使いこなされることがなかったのは、
「どのように作業すれば効果的か」というワークフローが確立していな
かったからです。このような置換フィルタは、翻訳者が翻訳ソフトを使
うワークフローの中で欠かすことができない重要な要素です。前処理と
後処理は、本来は可能な限り自動化すべき手順であり、置換フィルタは
それを実現するものです。LogoVista のように翻訳ソフト自体に置換フ
ィルタ機能がある場合もあります。そうでなければ、自分で Word のマ
クロを作成するなどして、工夫する必要があります。

 ご質問、ご感想、ご要望、ご意見などがありましたら、
tran@nichigai.co.jp までどうぞ。

 《このコラムは音声認識ソフトを使用して口述で執筆し、音声読み上
げにより校正しています》
PR
この記事にコメントする
Name:
Title:
Mail:
URL:
Color:
Comment:
pass: emoji:Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
TrackBackURL:
最新CM
[12/09 山本ゆうじ]
[12/07 Lisa Hosoi]
[09/29 NONAME]
[09/29 NONAME]
[03/13 エラリー]
カレンダー
05 2017/06 07
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
カウンター
忍者ブログ [PR]
Copyright(C) TranRadar(トランレーダー)ブログ All Rights Reserved