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■ 「山本ゆうじの翻訳道具箱」(その10)TRADOS の利点
                           山本ゆうじ

皆さんの中で TRADOS を使われている方は、かなり多いのではないかと
思います。使いこなしていらっしゃる方も多いと思いますが、なじみの
ない方のために説明しておきますと、TRADOS とは翻訳メモリの一種です。
翻訳メモリとは、翻訳済みの文章を文単位でデータベースとして管理す
るための仕組みです。翻訳対象に対して、以前に同じような文章を訳し
ていないか自動的にデータベースを検索し、その一致率に基づいて適宜
再利用します。完全に同じ文章や似た文章に対して翻訳作業を繰り返す
ことを避け、効率化が図れます。個人翻訳者が使う意義ももちろんあり
ますが、翻訳会社やクライアントでのコスト削減に有効で、IT 分野を
はじめとして翻訳業界に浸透しつつあります。翻訳メモリには、他にも
SDLX、Transit といった製品がありますが、特に IT 分野では TRADOS
が一般的なようです。

ただ、現状では翻訳メモリが十分に活用されない例、また逆に能率を下
げてしまっている例もあります。本来の能力を発揮するには、今後の理
解がさらに広まる必要がありそうです。

ごくまれにですが、ソフトウェアの翻訳で、手書きの赤字校正をいただ
くことがあります。クライアントさんが、数百ページにわたって、同じ
語句の訂正を、何度も何度も手書きで書き込まれているのです。ただ最
後のほうは根が尽きたのか、修正すら入っていません。ご苦労様であり
ます。私も人間ですから、もし何かの拷問としてこのような作業をさせ
られると(しかも短時間で完了せよとの条件付きで)、たぶん最後のほ
うでは疲労困憊すると思います。しかし、ここまで手間をかけていなが
ら、完全に直っているかというと、そうではないのです。クライアント
さんでの本来誤りを訂正するはずの修正段階でのもれや間違いを、再度
こちらで訂正する必要が出てしまいます。また修正されている語句が、
以前に頂いた指定と違うこともあります。これが意図的な変更で今回以
降はこれが正しいのか、修正者の手違いかは知るよしもありません。

このような場合に、翻訳メモリで一括して修正していれば、同じ語句の
訂正は一回で済み、また「校正」=>「反映」という二段階の手間をかけ
ることもなかったわけです。また用語が MultiTerm(TRADOS に含まれる
用語管理ソフト)で管理されていれば、作業にかかわる全員が、変更さ
れた用語を確実に反映できます。A さんが直した用語を B さんがさらに
直し、C さんが元に戻す……という、地獄で、転がり落ちる岩を未来永
劫、繰り返し押し上げるシジフォスの罰にも似た、ムダな作業をするこ
とはありません。膨大なコストと時間を即座に削減できたはずです。も
ちろん修正者の方も、徹夜残業せずにすんだはずです。

「校正は紙で」という考え方にも一理ありますが、もしそれが必要だと
すれば最終段階で行うべきでしょう。修正箇所が大量に予想される段階
では、パソコン上で処理した方が効率的です。

このケースは、翻訳メモリを作業に使用していながら発生した事態です。
もちろん、これは翻訳メモリを持っていない場合でも発生することでは
ありますが、仮に持っていても使い方をよく知らないのでは、持ってい
ないのと同じことです。「忙しいから」と勉強する時間を惜しむよりも、
使い方をしっかり身につけてうまく利用したほうが、結局は時間を節約
できるのではないでしょうか。

次回は、翻訳メモリの今後の課題についてです。

この連載に関するご質問、ご感想、ご要望などがありましたら、
tran@nichigai.co.jp までどうぞ。
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