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■「山本ゆうじの翻訳道具箱」(その52)我が語学修行人生・中編

                           山本ゆうじ

拙作の掌篇が、光文社文庫『奇妙にこわい話』コンテストで佳作を頂き
ました。本作が収録された『もちろん奇妙にこわい話』(光文社)は、
2008年7月10日に刊行されます。創作、特に字数制限の厳しい掌篇やシ
ョートショートは、日本語力を鍛えるには最高の訓練です。「推敲」と
いう作業を楽しめる方なら、気晴らしもかねて創作に挑戦するのもよい
のではないでしょうか。

新しいVistaパソコンを買ったり、久しぶりにTOEICを受けたり、いろい
ろ書きたいことはあるのですが、その他の話題はブログを読んでいただ
くとして、今回は前回の続きです。

北はフィンランドから南はモロッコまで、東はチェコ スロヴァキア(当
時)まで行きました。オランダはアムステルダムの運河のほとりでは強
盗に、イタリアの鉄道ではすりに遭いました。ノルウェーのオスロでは、
極寒のクリスマスの夜に、泊まる場所が見つからず、急きょカレッジの
友人の家に泊めてもらったこともありました。予定外のことで、しかも
北欧でのクリスマスは家族の行事であるところに闖入したわけで、おま
けにあまりよく知らなかった女の子の家にいきなり泊めてくれというの
は、当時の純朴な私には死ぬほど恥ずかしいことでした。このような経
験を通して、ヨーロッパの中での文化の違いや共通点、伝統の受け継が
れ方などに気づかされ、またその中で日本の文化についても考えさせら
れました。「かわいい子には旅をさせよ」を断固として実行することは、
今の日本人にとっては非常に重要なことだと思います。

さて、私は2年間一度も帰国せずに、イギリスとヨーロッパでの生活を
満喫したわけですが、英語で学ぶことには大きな負担を感じていました。
そこで少なくとも大学は日本に戻り、4年間は日本語で勉強しようと思
い、アトランティック カレッジの卒業後に、筑波大学の比較文化学類
に9月入学しました。

当時は、思い浮かんださまざまなアイデアを、付箋のような小さい紙切
れに記録していました。やがて、ノートパソコンを教室に持ち込んで講
義ノートを取るようになりました。文系の授業でそんなことをしている
のは私くらいだったはずです。比較文化学類のウェブサイト作成や、比
較文化学類専用のコンピューター室の新規立ち上げなどにもかかわりま
した。今でも比較文化学類のコンピューターには、私たちが設立当時に
決めた日本伝統色の名前が使われています。

筑波大学での学業は、決してむだではなかったものの、革新的・進歩的
という売り文句に釣られた私は、日本の国立大学の実態に大きく失望さ
せられました。すばらしい友人や教員に恵まれる一方で、堂々と居眠り
をする学生の多い授業に幻滅しました。国立大学特有の融通のきかなさ
に閉口しつつも、学べるときに学ぼうと通常の1.5倍の単位を取り、大
学3年のときに英検一級、卒業時には第一種教員免許(2科目)を取得し
ました。しかし、日本の大学にはなんとも物足りないものがありました。

再び海外で学びたいという気持ちから、シカゴ大学の大学院に1年間留
学しました。シカゴ大学は、過去の卒業生と教員を含め80名以上のノー
ベル賞受賞者を出しています。また、仕事で英語を書く人ならご存じの、
『シカゴ マニュアル』と呼ばれる、論文や記事の規範が有名です。私は、
筑波大学で学んだことのお粗末さに打ちのめされました。再び英語で学
ぶ環境に戻り、早朝から深夜まで勉強に追われる日々でしたが、ある意
味では筑波大学での4年間よりもシカゴ大学での1年間の方が充実してい
ました。私は修士論文 「日常生活の美学 -モダニズムと『いき』-」
を執筆して、人文学修士号(MA)を取得しました。この論文は以下から
全文を読むことができます。英語で書いたのですが、自分で日本語にも
翻訳しています。
http://cosmoshouse.com/works/papers/

「いき」という研究テーマは、ライフワークとして今も引き続いて考察
しています。

帰国してからは、試行錯誤しながら翻訳の仕事を始めました。筑波大学
のころから翻訳のアルバイトはしていましたが、「秋桜舎」という屋号
を掲げてからは、翻訳会社と契約しながら、IT分野を中心に本格的な業
務を始めました。その後、3回目に受験したTOEICで985点を取得しました。

やがていくつかのご縁から、アルク、翻訳教育会社のアメリア、バベル
『eTrans Learning』(旧『翻訳の世界』)に執筆させていただくように
なりました。『通訳翻訳ジャーナル』、通訳翻訳ウェブ、そしてこの日
外アソシエーツのメールマガジンは現在も継続して執筆させていただい
ています。執筆と講演のリストは以下をご覧ください。
http://transpc.cosmoshouse.com/news.htm

私は、翻訳という仕事を始めてからすぐに、「どうやって合理的に翻訳
するか」ということが重要だと気づきました。また、パソコンで楽に翻
訳する方法を自分でいろいろ試しました。翻訳メモリーや翻訳ソフトは
その一例です。試行錯誤するうちに、翻訳メモリーと翻訳ソフトを組み
合わせるワークフロー、SATILAを開発しました。このような合理化ワー
クフローを核として実務翻訳業務、また大規模翻訳・文書管理/作成の
コンサルティングを行うようになり、現在に至ります。

「我が語学修行人生」は、この中編でひとまず終わりです。私の人生の
後編はまだ続くようですので。

ご質問、ご感想、ご要望、ご意見などがありましたら、
tran@nichigai.co.jpまでどうぞ。

《このコラムは、音声認識ソフトで入力し、音声読み上げにより校正しています》
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