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 ■「山本ゆうじの翻訳道具箱」(その41)スタイル ガイドの自動化

最近、mixiやブログで「三百字小説」を書くことにはまっています。俳
句と同じように、コンパクトに、かつバランスよく300字に収めるには
かなりの推敲が必要です。
文芸翻訳に限らず、日本語力を磨くのに良い訓練となります。拙作は
「遊歩人」に2度ほど掲載され、めでたく図書カード2枚を獲得いたしま
した。だれでも気軽に応募できますので、みなさんも投稿されてはいか
がでしょうか。
http://www.bungenko.jp/

閑話休題。「AはBのように表記する」「中黒は使わず半角スペースにす
る」――単純でありながら、実際の翻訳作業でかなり時間が取られるの
は、このような、スタイル ガイドで指定されている表記の遵守です。

かなり以前の話ですが、ある翻訳の仕事で苦労させられたことがありま
す。作業がすでに進行しているのに、スタイル ガイドの指定がころこ
ろ変わるため、そのつど戻って修正しなくてはなりませんでした。この
ように、スタイル ガイドの指定は、矛盾があることや不合理であるこ
ともあります。

翻訳という作業を合理的に考えるうえで、私は「翻訳工学」という考え
方を提唱しています。この翻訳工学に基づけば、「ルールに基づいた翻
訳をすべし」という大原則があり、さらにそこから派生して「スタイル
ガイドは可能な限り自動化すべし」ということになります。つまり単純
な手作業をツールでの処理に置き換えて、労力を減らそう、ということ
です。翻訳者だけでも、できる範囲内で自動化すれば、労力を減らせま
す。ただ、「スタイル ガイドの自動化」は、翻訳者、翻訳会社、クラ
イアントの三者すべてに関係しており、体系的に行うのが理想的です。
個人で整形スクリプトを作成している方もいますが、「全員で徹底する・
全員で共有する」ことも重要です。

自動化するには、まずスタイル ガイド自体が合理的である必要があり
ます。具体的には、内部的な矛盾がないこと、判断基準が明確であるこ
となどがあります。これがきちんとできていないと、どういうことにな
るでしょうか。まず、クライアントは発注したとおりの仕様に沿ってい
ない納品物を受け取ることになります。翻訳者や翻訳会社がいくら努力
しても、スタイル ガイドそのものがきちんとしていないと、表記統一
のしようがありません。また、用語の表記がばらついていれば、最終的
な利用者が混乱することになります。マニュアルには「読み取り」と書
いてあるのに、実際のソフトウェアのメニューでは「読取」となってい
たりすることがあります。さらに、翻訳会社はチェックの過程で、同じ
個所を何度も見直すことになります。しかし、もっとも割を食うのはお
そらく翻訳者でしょう。語数で料金が計算されている場合は、自分のせ
いでもないやり直しをただ働きで何度もさせられるわけですから。

スタイル ガイドが合理的であるということは、「明確なルール」があ
るということです。明確なルールがあれば、ツールによる処理が可能に
なります。もちろん、人間による判断がまったく不要になるわけではあ
りません。しかし、きちんとしたルールに基づいていれば、関係者が余
分な時間と労力を使わずにすみ、翻訳者が推敲に十分を時間をかけられ
るようになり、全員がハッピーになれるのです。

スタイル ガイドを自動化するためには、注意点があります。それは、
ルールを可能な限りシンプルにすることです。自動化を前提にしてルー
ルを作る場合は、ルールの数は多くても問題ではありません。ルールが
多くてもツールであれば黙々とチェックできるからです。もちろん、物
事をむやみに複雑にすることはありません。ルールが増えると矛盾する
場合も出てきます。シンプルなルールで、なおかつ少なくできればベス
トです。

具体的には、スタイル ガイドをどのように自動化できるでしょうか。
まず、Wordの文章校正機能を活用することができます。校正語機能、オ
ートコレクトは正しく使用すれば労力を減らすことができます。作業上
の基本技能として翻訳者に徹底して伝わるようにし、データを配布すれ
ば、誤りを相当減らせます。残念ながらオートコレクトについては簡単
な配布方法はありませんが、校正辞書はインポートとエクスポートがで
きます。

また、置換ツールを使用して用語を統一することもできます。Wordの機
能はあくまでも「誤りを減らす」ことに重点があり、徹底的なチェック
はできません。そのため校正機能を使用しても、最終的には置換ツール
で最終確認をすることになります。しかし「置換ツールだけでよいか」
というとそうでもありません。校正機能で翻訳作業中に問題を見つけし
だい減らしたほうが、後で大量のチェックをするよりも楽ですし、確実
です。使い分けのタイミングがポイントです。

また、翻訳ソフトにより用語の自動適用をすれば、スタイル ガイドを
最初から遵守した翻訳ができます。これもまた単独では不十分なので、
前述の方法と組み合わせます。きちんとワークフローをいったん定めて
徹底すれば、決して複雑なことではありません。このように効率よく作
業できれば、確実なコスト削減につながります

  《お知らせ》
翻訳クライアント企業と翻訳会社を対象にした翻訳ワークフローSATILA
の説明会を6月以降、順次開催します。
http://cds.cosmoshouse.com/satila/
ご関心のある企業の担当者の方はお知らせください。
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