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 (その48) 翻訳祭と「みんなの辞書」UTX

10月にJTF(日本翻訳連盟)主催で、翻訳祭が行われます。僭越ながら、
 私がパネルディスカッションの司会を務めさせていただきます。
 http://www.jtf.jp/jp/festival/festival_top.html

 テーマは「ツール活用で品質と効率の向上を両立する ~MT/TM ワーク
 フローの現状と未来~」です。なおMT(machine translation)とは機
 械翻訳、TM(translation memory)とは翻訳メモリのことです。翻訳者、
 翻訳会社、ツール開発会社、クライアントなどさまざまな立場のパネリ
 ストが一堂に会し、翻訳支援ツールの現状と未来について本音の意見を
 戦わせます。翻訳支援ツールについては、「食わず嫌い」の翻訳者がま
 だかなりいらっしゃるようです。企業内翻訳者の方はともかく、個人翻
 訳者は自分で積極的に情報収集して、工夫したほうがよいのではないで
 しょうか。分野も、IT分野・ローカライゼーションをはじめとしてさま
 ざまな翻訳分野に触れる予定です。

 たいへん貴重な機会ですので、いろんな意見を聞いて自分の目で判断し
 たいという方は、お誘い合わせのうえぜひ翻訳祭にご来場ください。
 「このような点について関心がある」という論点のリクエストもお待ち
 しております。可能な限り反映させていただきます。

 機械翻訳や翻訳ソフトというと、作業速度の向上だけに目が行きがちで
 すが、これは大きな誤りです。作業の速度は、品質の向上と関連してい
 ます。「ゆっくり訳したから丁寧」とは限りません。速く作業できた分
 を、確認の時間に回すことで、より確実な翻訳にすることもできます。
 節約できた時間をどう使うかは、翻訳する人次第です。

 スタイル ガイドの遵守や表記の統一などは、実際には手が回らずに手
 抜きされていることも多いようです。しかし、本来ならばかなり自動化
 が可能な工程です。機械翻訳や翻訳ソフト導入は、「おろそかになって
 いる点があればそれをまず分析し、改善しようとする意思がある」とい
 うことが前提になります。コスト削減しか考えていないのでは必ず失敗
 します。

 翻訳支援ツールに関しては、ともすれば客観的な議論よりも、感情的な
 議論になることもあるようです。「実際にやってみてどうだったか」と
 いうことが、個人的な体験の範囲でしか語られないことが多いと感じま
 す。これは翻訳者が個人や小人数で作業することが多いこととも関連し
 ていると思われます。また、工程の効率化の評価よりも、「心理的な抵
 抗」が最大の壁のようです。一度誤解されると、理屈で説明してもなか
 なか分かってもらえません。そもそも英語など外国語の学習にしても、
 問題となるのは心理的な抵抗です。今後は、翻訳支援に関して、情報交
 換と研究がより活発に行われ、迷信が打破されることを期待しています。

 現代の実務翻訳は、チームワークです。最初から最後まで自分ひとりで
 翻訳をするわけでありません。自分で名訳ができたと得意になっていて
 も、それが他の人が訳した部分から突出していると、できあがりは奇妙
 な文章になってしまいます。実際には個人で作業するとしても、翻訳に
 かかわる関係者がチームとしてうまく機能しているかが、翻訳結果には
 っきりと現れます。

 さて、前回ご紹介した共有ユーザー辞書フォーマット、「みんなの辞書」
 は、UPF3と仮に呼ばれていましたが、正式名称がUTX (Universal
 Terminology eXchange)と先日決定しました。お互いの翻訳の知識を持
 ち寄ることで、楽に翻訳しようという趣旨です。親しみやすい解説ペー
 ジが公開されましたので、ぜひご覧ください。
 http://www.aamt.info/japanese/utx.htm

 インターネットでは、医学など専門的な対訳用語集が無料で多数公開さ
 れています。しかし、形式がばらばらのため、単純に「検索する」とい
 う以上の活用はこれまで困難でした。さまざまな形式の用語集をオープ
 ンな統一規格にすることにより、自由に相互利用しやすくなります。た
 だしオープンの用語集では、「だれが作ったのか」という点で妥当性・
 信頼性が問題になります。「オープンでなくてもいいが、きちんとした
 専門家が監修した高品質な辞書を使いたい」という要望にも応えられる
 仕組みを、現在検討中です。

 ご質問、ご感想、ご要望、ご意見などがありましたら、
 tran@nichigai.co.jpまでどうぞ。

《このコラムは、音声認識ソフトで入力し、音声読み上げにより校正し
 ています》

 

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「食わず嫌い」
はじめまして。翻訳を専業にしてから2年強です。訳語置換ソフト(?)としてのSimplyTermsは使っていますが、翻訳支援ソフトはまだ使っていません。まさに「食わず嫌い」です。今春あたりから少しずつ試してみようとは思っていますが、新年度初めは受注量が減るというそれほど強い根拠のない読みに基づいているだけです。少し試してみるといろいろ質問も出てくると思います。その節はよろしくお願いします。
あきーら URL 2008/01/11(Fri)23:55:04 編集
コメントありがとうございます
あきーらさん、コメントありがとうございます。

翻訳ソフトの活用は、準備には時間がかかりますが、体系的に取り組めば実感できる違いが現れます。従来の翻訳とは発想の切り換えが必要ですので、独学されるよりも講習を受けたほうがスムーズに取り組めるかもしれません。

個人で翻訳ソフトを使うよりも、翻訳会社と協力して行うことで大きな違いを生み出せます。個人だけが受注する分量よりも、翻訳会社で受給する分量に対して、ユーザー辞書を一括して準備する方がはるかに効率的だからです。

一度、付き合いのある翻訳会社に相談されてみてはいかがでしょうか。
山本ゆうじ URL 2008/01/15(Tue)16:41:43 編集
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