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 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二

◆仕事の始め方

●契約書

登録時に提出する書類の中に「契約書」がある場合もあります。

◎業務委託契約書

翻訳会社から翻訳者への発注は翻訳業務の委託ということになるので、
業務委託契約書を結んでおくのが本来あるべき姿です。現実にはその
ような書類が用意されていないことも珍しくないのですが。

「お願いします」「分かりました」という口頭の約束でも法的には契約が
成立しますし問題がないときはそれでいいのですが、万が一、何か問題
が起きたとき言った・言わないの話になってもめないように作っておく
のが契約書です。契約を締結というとすごいことのようですが、実は意
外なほど当然のことしか書いてありません。

契約書というのは契約当事者、両者が取引について合意した内容を書く
ものなので、本来は、両者が話し合って内容を詰めてゆくものです。た
だ、現実には、各翻訳会社が用意しているものに翻訳者がサインすると
いう形が一般的です。

形式は、普通、契約当事者、両者について、それぞれが履行すべき義務
と相手に要求できる権利を列挙する形になっています。長さは1ページ
の簡単なものから10ページ超の詳細なものまで、会社によって異なりま
す。

簡単なものがいいわけでも、詳細なものがいいわけでも特にありません。
ポイントは「両者について」という点です。発注時には翻訳会社がきち
んと指示を出す、翻訳者は納期までにきちんと仕上げて納品する、翻訳
会社は納品から一定期間内に検収し、さらに一定期間のうちに支払いを
するなど、両者の義務が明記されていることが大事です。義務を履行で
きない場合のペナルティも双方について規定してあるべきです。ただ、
契約当事者の片方が作る契約書というものは、作る側に有利な内容にな
りがちです。ひどい場合は、翻訳者の義務と翻訳会社の権利だけがずら
っと並んでいるものもあります。

不公平な契約だと思えば、内容の修正をお願いしましょう。念のため翻
訳者仲間に相談する、できれば市役所などで行われている無料の法律相
談でいろいろと確認するなどしてから翻訳会社との交渉にはいるほうが
いいでしょう。

交渉しても、どうにも納得できない内容にしかならない場合は契約を見
送ることをお勧めします。翻訳者をパートナーだと考えていれば公平な
内容になりますし、顧問弁護士に契約内容を確認してもらうだけでもそ
こそこ公平な内容になります。不公平な契約書を出してくるということ
はそのいずれでもないわけですし、交渉しても不公平が解消されないと
いうことは翻訳者をパートナーと認識していないことの証拠だと言って
もいいでしょう。世の中に翻訳会社は山のように存在しますし、公平な
内容の契約書を用意しているところもたくさんあります。さっさと次を
探しましょう。

◎守秘義務の契約書・宣誓書

業務委託契約書のほかに、守秘義務を規定した契約書や宣誓書も用意さ
れていることがよくあります。翻訳の仕事は一般公開前の情報が含まれ
ていることが多く、それが漏れるとソースクライアントに大きな損害が
発生することもあるからです。

題名が「契約書」でも「宣誓書」でも、法的には「契約書」です。守秘
義務の場合、ほとんどが受注側の義務となるため、宣誓書という形を取
ることがあるだけのことです。

こちらもポイントは「公平か」という点です。

業務委託契約書はそれなりにきちんと作っている会社でも、守秘義務の
契約書や宣誓書は片手間で作るのかひどい内容になっていることが珍し
くありません。たとえば、(↓)のようになっていたりします。

  ・当社から渡すものすべてが機密情報である
  ・案件終了後も守秘義務は継続する
  ・機密情報漏洩で損害が発生したら翻訳者が責任を負う

この内容には、(↓)の問題点があります。

  ・渡されたとき公知のもの、渡されたあと公知になったものにも守
      秘義務が発生する
  ・翻訳会社やソースクライアント、あるいは第三者から機密が漏洩
      しても翻訳者が責任を負うことになる

この点について問い合わせると、「公知のものに守秘義務はないし、翻
訳者以外が機密を漏洩した場合に翻訳者が責任を問われることはない。
常識で判断して欲しい。(だからこのままサインすればいい)」という
回答が返ってきたりします。

そういう回答で納得あるいは安心してサインなどしないように。最初に
書いたように、契約書というのは当然のことを書いておくものなのです。
逆に言えば、当然のことなら契約書にそう書けばいいだけのこと。それ
を書かないのは裏の意図があると疑われても仕方がないと言えます。だ
いたい、「常識で判断」すればいいのなら守秘義務の契約書や宣誓書な
ど不要です。翻訳の仕事をすれば守秘義務があるのは常識ですからね。
そういう話をしても修正に応じないようなところがあれば契約せず、
別の取引先を探すことをお勧めします。

◎契約書の活用方法

契約書についてのあれこれ、なんだか面倒だなと思われたかもしれませ
ん。面倒といえば面倒ですが、別の見方もあります。

どのような契約書を作っているかで、取引先が翻訳者をどう位置付けて
いるのかなどがわかるわけです。一方的な契約書を作るところは、だい
たい取引も一方的です。契約書なんて建前ですから、契約書が公平でも
取引関係のやりとりが一方的なところはありますが、建前を取りつくろ
うことさえしていなければ論外と思ってまず間違いないでしょう。契約
書の内容や契約締結時の交渉というのは、自分が取引すべき相手かどう
かを見極める一助となるわけです。

取引先を選べる、こことは取引したくないと思えば断れるというのがフ
リーランス翻訳者の特権です。その特権を活用し、仕事のパートナーと
して翻訳者を見てくれるところを探して取引することをお勧めします。

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