忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二

◆仕事の始め方

●トライアル

前回、「経験者のトライアル」で経験者にトライアルを課すのは失礼だ
という考え方があるが、そのように考えるのは決して得ではないという
話を紹介しました。今回は、誰かの紹介でつながりができたときのトラ
イアルについて紹介します。

紹介においてもトライアルが問題となることがあります。紹介によって
実力は保証されているのだからトライアルがあるのはおかしいと考える
人がいるのです。

◎紹介とトライアルの有無

紹介だと、結果的にトライアルなしになることが多いのは確かです。で
も、「紹介だからトライアルなしにすべき」とはなりません。そんなに
単純な話ではないのです。いろいろなケースがあり、また、それぞれの
人にはそれぞれの立場があるからです。

ケースはいろいろといっても、「実力を見る方法はトライアルしかない」
ということの派生形です。ただ、それをどういう立場からどう考えるか
次第で、いろいろなパターンになりえます。

私自身、紹介を頼まれることがけっこうあるので、今までそれなりに多
くの人をあちこち、紹介してきました。その際は、実力を保証するよう
な書き方をすることもあれば、実力はそちらの基準で再確認してくれと
紹介することもあります。後者であれば、先方は基本的にトライアルを
しているはずですし、前者であってもトライアルをしているケースがあ
ってもおかしくないと思います(理由は後述のようにいろいろとありま
す)。

また、一時期、けっこういろいろな人に仕事をお願いしていた時期があ
りますが、そのときの紹介のされ方も、上記のように、2種類ありまし
た。また、実力を保証されても、保証した人の実力に私が不安を持って
いるため保証された人の実力も信用できないとして、トライアルをお願
いした場合もありました。もちろん、確認してくれと言われたときを含
め、ちょうど小さな仕事があったので、それをお願いしてトライアルが
わりにしたこともあります。

私がどこかのクライアントに紹介されたケースでも、トライアルなしの
こともあれば、トライアルありのこともありました。トライアルありだ
ったときは、「トライアルで実力を確認してくれ」という紹介だったの
かもしれないし、紹介してくれた人の実力に向こうが不安を持っていた
のかもしれません。それだけでなく、特に企業との直接取引など、担当
者が誰かから私を紹介されたが私に発注するためには上司の許可が必要、
というようなケースでトライアルをする形になることもあります。会社
の方針として必ずトライアルとなっていれば、ケースバイケースで対処
するわけにいかないでしょう。そういう会社でも社長など上の人が信頼
する人から紹介を受けたなどの場合にはトライアルなしになったりはし
ますが、例外があるなら自分に例外を適用しろと言えるものではありま
せん。

このように、主だったものだけあげてもいろいろなケースがあるわけで、
紹介であればトライアルをなしにすべきというのは無理があります。

◎善意で紹介してくれた人の顔をつぶす

ここまでは、先方や周囲の状況にもいろいろあるという、いわば消極的
な意味で、トライアルをしろと言われても仕方がないという理由でした。
今度はもう少し積極的な意味で、そういう場合にフレームメールを返し
たりすることはまずく、落ち着いた対応でトライアルを受けるなりにし
たほうがいいという理由をあげましょう。

紹介なのにトライアルを受けろとは、と怒ってしまうと、最悪の場合、
善意で紹介してくれた人の顔をつぶしてしまうおそれがあります。

紹介で話が動き始めたとき、関係者は、自分、自分を紹介してくれた人
(Aさんとする)、Aさんが自分を紹介してくれた発注元(B社とする)
の3者です。基本的に、自分とAさんとの間、AさんとB社との間は関
係が良好、自分とB社との間には特につながりがない、という状態のは
ずです。

この関係の中で、「トライアルをお願いしたい」とB社からの問い合わ
せがあったとき、それはおかしいと怒ったメールを返したり無視するな
どおかしな対応をすると、Aさんに迷惑をかけてしまうおそれがかなり
あります。

仮にAさんが私を「実力はそちらで確認してくれ」と紹介していたら……
上記の対応がまずいのは明らかですよね。

その他のケースでは、翻訳者の立場にたってものを考えてくれるだけの
分別がB社にあれば、あまり大きな問題にならないかもしれません。

翻訳者側が発注側の立場を斟酌しないのに(今回のケースでは、「先方
にはトライアルをしなければならない理由があるかもしれない」という
ことを斟酌しないのに)、相手にはこちらの立場を斟酌してもらうこと
を要求するのは、身勝手なんじゃないかと私は思いますが、その後の展
開として、相手次第で特に問題にならないのは事実でしょう。

それほどの分別がない場合、B社は多少なりとも腹をたてるでしょう。
無視したり怒ったりしたメールを送り返した私に対してはもちろんです
し、それは別にいいと思いますが(いいと思わなければ、無視もフレー
ムメールもないわけですから)、ひどい人を紹介してくれたとAさんに
対しても腹を立てるおそれがあります。しかも、Aさんが丁寧に推薦し
てくれていればいるほど、私の対応が悪かった場合にAさんへと累が及
ぶおそれが強くなります。「この人はこれこれこのように実力があるだ
けでなく、とてもいい人で、信頼できる人です」なんて私を紹介してく
れていたりしたら、目もあてられません。失礼な対応をする私を信頼す
るということは、Aさんも実はそういう人なのね、とか、少なくとも人
を見る目がないねと言われかねません。

Aさんが今までB社と築いてきたいい関係に傷を付けるおそれがある、
つまり、善意で私を紹介してくれたAさんの恩を仇で返すおそれがある
のなら……それを避けるため、丁寧な対応をするべきだと私は考えます。

もちろん、B社の対応があまりにひどいという場合もあるでしょう。

そういう場合でも、いや、そうであるならなおさら、丁寧な対応をすべ
きだと思います。ひどい対応をするということはB社に上記のような分
別がない証拠だと言えるでしょうし、それはとりもなおさず、私の対応
いかんでB社がAさんに対しても腹を立てる可能性が高いということで
すから。そんなB社でも、Aさんにとっては、それなりに良好な関係を
持っている取引先のはずであり、その関係に横から傷を付けるようなま
ねはしたくないと私なら考えます。

いずれにせよ、B社に対しては丁寧な対応をする。その上で、B社の対
応に不備があると思えば、それをAさんに伝えておく。B社との関係を
考え直すかどうはAさんの判断ですからね。このくらいが妥当な線では
ないかと思います。

丁寧にお断りする、という対応はもちろんアリです。対応が丁寧か失礼
かという問題と、ビジネスとして条件が折りあい取引にいたるかどうか
とは、まったく別次元の問題ですから。

若干、脱線しますが……紹介の話が「B社を助けてあげて」というよう
なものであれば、通常なら断る条件の話でも受けることが多いでしょう。
もちろん、無理なものは無理なので必ずとは言えませんし、私とAさん
との関係次第でもありますが。仕事というのは人と人のつながりのなか
でしていくものだと思いますので。

フレームメールうんぬん以外にも、紹介者に迷惑をかけないがために、
トライアルがあったほうがいいという側面があります。

万が一、紹介された人のデキが悪かったとしても、トライアルありなら
善意で紹介してくれた人に累が及ぶ心配がありません。私の実力、保証
しますと紹介されたのに、もし、紹介先が満足するものを私が出せなか
ったら……紹介してくれた人に悪いと私は思います。せいいっぱいの訳
文をだして満足してもらえなかったのなら、悪いけど仕方がない、では
ありますが。とにかく、トライアルだったとしてもよくありませんが、
仕事として請け負ってそんな結果しか出せなかったらもっとまずいこと
になります。

PR
この記事にコメントする
Name:
Title:
Mail:
URL:
Color:
Comment:
pass: emoji:Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
最新CM
[12/09 山本ゆうじ]
[12/07 Lisa Hosoi]
[09/29 NONAME]
[09/29 NONAME]
[03/13 エラリー]
カレンダー
08 2017/09 10
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
カウンター
忍者ブログ [PR]
Copyright(C) TranRadar(トランレーダー)ブログ All Rights Reserved