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 ■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二

◇ 仕事の始め方

●トライアル

前回は、誰もが一度は通るであろう一般的なトライアルについて書きま
した。今回は、翻訳者を続けていると遭遇することがあるパターンを紹
介します。

◎再受験はできるのか

トライアルに落ちたら、もう2度とその翻訳会社のトライアルは受けら
れないのでしょうか。そんなことはありません。トライアルの目的は
「翻訳の力が一定レベル以上あるかないか」を判定することにあります。
トライアルに落ちたというのは、その時点では一定レベル以下だと判断
された-それ以上でも以下でもありません。力がつけばまた受けてかま
わないし、合格すれば普通に仕事へとつながります。

ただし、実力がはっきりとあがるにはかなりの時間がかかる点は忘れな
いこと。落ちた翌月にもう一度申し込むなどは非常識です。くり返し受
けたら合格率が上がるわけではありません。通る人は通るし落ちる人は
落ちる。トライアルとはそういうものです。

じゃあ、どのくらいの期間をおけばいいのか……そう聞かれても答えよ
うがありません。半年で大きく伸びることもありますし、5年たって変
わらないこともあります。10年たって下手になることだってあります。
でもまあ、トライアルを課す側の手間などを考えれば、少なくとも1年、
できればもう少しあけるべきでしょうね。

少し視点を変えて考えれば、同じところを受けなければならない理由は
ないことが多いと思います。トライアルを受ける先はいくらでもあるの
ですから、「どうしてもここ」と思いこまず、あちこちに当たってみる
のがいいと思います。

◎経験者のトライアル

翻訳業界には、ある程度以上の経験を積んだプロにトライアルをさせる
のは失礼だという考え方があるようです。翻訳者のコミュニティなどで
「経験X年の自分にトライアルをやれとは失礼な会社だ」と憤慨してい
る人を見ることがあります。新しい翻訳会社の方から「申し訳ないので
すが、当社規定のトライアルを訳していただけませんか」と聞かれるこ
とがあるのも、経験が長いプロにトライアルを申し出ると怒られること
があるからでしょう。

この背景には、おそらく、実力は経験が証明しているから改めてトライ
アルで実力を確認する必要などない、であるのにトライアルを課すのは
バカにしているからだという流れがあるものと思います。

でも実はこの考え方、私にはまったく理解できません。新しいところと
取引を始めるときには「なるべくトライアルをお願いします」とこちら
から頼むくらいですから。

まず、怒ることにデメリットはあってもメリットはないと思います。自
分の中で憤慨しているだけでも翻訳の作業に悪影響が出るなどいいこと
はありません。相手に怒りをぶつければ印象を悪くするだけです。

トライアルを課す側の要求レベルがさまざまだという問題もあります。
まず、会社による違いがあります。違いは、A社よりもB社のほうが甘
いということもありますし、重視するポイントが違うということもあり
ます。また、同じ会社でも、「そのうちお願いすることがあるかもしれ
ないから」というケースと「これから始まるプロジェクトを頼める人を
集めたい」というケースでは要求水準が異なるのが当たり前です。他社
で仕事をしていても、その会社にとって仕事を頼める人かどうかはわか
りませんし、そのプロジェクトで使える人かどうかもわからないのが当
たり前なのです。

冒頭の話は、経験年数という実績から、そういう違いがあっても全部ク
リアできるレベルだと判断しろ、そうしないのはけしからんということ
だろうと思いますが、現実を見るとそうも言えないことが分かります。

翻訳の世界は実力勝負。訳文がすぐれていれば、あるいはボロボロなら、
学歴も経歴も関係ありません。プロとして何年も食べているというのは、
たしかに一定レベル以上の力を持つことの証明にはなります。でも、そ
れ以上は何もわからないのです。10年、翻訳で食べていても駆けだしと
同じようなレベルに留まっている人もいます。プロになってほんの数年
でどんどん上手になってゆく人もいます。もちろん、これらを両極端と
して、その中間にさまざまな人がいるわけです。「出版翻訳の実績があ
れば違う」という人もいますが、現実には出版翻訳もピンキリです。出
版された時点での品質もピンキリですし、そこまでに編集さんなどがか
けなければならなかった手間もさまざま。最初から出版向けの品質を作
り込める翻訳者だけが訳書を出すわけではありません。結局、なにがし
かの形でトライアルをするしか初見の相手の実力を確認する方法はない
わけです。

詳しくは後述しますが、トライアルがあったほうが翻訳者にとっていい
という側面もあります。

なお、トライアルの形式としては、翻訳会社などが用意した課題を訳す、
自分で選んだものの原文と訳文を提出するなどの方法があります。小さ
な案件を翻訳会社の言い値でやってからその後のレートを決めるという
方法も、トライアルの一種だと言えるでしょう。

余談ですが……トライアルを受けろというのは侮辱だと感じる翻訳者が
かなり多いという話、翻訳会社の人たちから聞くこともよくあります。
そういうとき、そのあとには「そういう人にかぎって質がよくない」
「できる人はトライアルくらい、ささっと軽くやって出してくれる」と
いう話が続きます。愚痴に近いことが多いので話半分に聞いたほうがい
いと思いますが、少なくとも、いろいろな人がいることだけはたしかで
しょう。
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