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■ 仕事としての翻訳                  井口 耕二

●翻訳業界関係者とその役割

翻訳の業界にはどのような関係者がいて、何をしているのかを見てみま
しょう。

産業翻訳の業界には、大きく分けてソースクライアントと翻訳会社、翻
訳者の3者がいます。

ソースクライアントとは、翻訳の案件が発生する企業などです。海外で
開発されたソフトや機器を日本で売ろうと思えば、マニュアルなどの和
訳が必要になります。日本の企業が海外の企業に対するプレゼンテーシ
ョンをするときには、プレゼン資料の英訳が必要でしょう。このような
翻訳を社内でこなしきれないと社外に外注され、翻訳案件が発生するわ
けです。

外注先の大半が翻訳会社です。翻訳会社という名前からイメージされる
ものとは異なり、翻訳会社の社内に翻訳者はほとんどいません。ほとん
どの翻訳案件は、翻訳会社からフリーランス翻訳者に外注されます。つ
まり、翻訳案件の営業(案件獲得)とコーディネートが翻訳会社の中心
業務です。元請けの翻訳会社から受注してフリーランス翻訳者へと仕事
をコーディネートする下請け型の翻訳会社も存在します。

このような案件を実際に1行、1行、訳していくのが、フリーランス翻訳
者です。翻訳者とひとくくりにいっても、さまざまです。バックグラウ
ンドが語学系の人もいれば専門系(技術、法律、金融など)の人もいま
す。年齢も若い人からかなりの年輩者まで、さまざまです。会社勤めを
したことがある人もない人もいます。定年退職後のいわゆる第二の人生
で翻訳者となっている人もたくさんいます。そして、会社員と翻訳者の
二足のわらじを履いている人もたくさんいます。

このように仕事は、基本的に、クライアント→翻訳会社→(翻訳会社→)
翻訳者と流れていきます。若干ですがクライアント→翻訳者と流れる仕
事もあり、業界では「直接取引」と呼ばれています。

前々回、派遣社員や正社員として翻訳をするケースを紹介しましたが、
そのような場合に勤める先はソースクライアントか翻訳会社となります。
ある程度以上の翻訳案件が定常的に発生するなら、外注するよりも社内
に人間を置いた方がいろいろと便利だからです。

マニュアルの翻訳などを行うローカライズの世界では、ソース言語から
数多くのターゲット言語への翻訳を同時に進めるため、大元のソースク
ライアントから MLV(Multi-Language Vendor)へ発注されます。その
うち、日本語との翻訳が SLV(Single-Language Vendor)へ発注されま
す。この SLV が翻訳者から見たときの「翻訳会社」となり、そこから
フリーランス翻訳者へと仕事が割り振られます。MLV から直接、翻訳者
に仕事が出るケースもあります。

◎翻訳会社

翻訳者にとって縁の深い翻訳会社について、もう少し詳しく見てみま
しょう。

株式を上場し200人を超える人が働く大手もありますが、一般に、翻訳
会社は小規模です。実質的に1人だけというところを含め、1~5人とい
った零細なところがたくさんあります。10人前後で中堅、社員が20人を
超えれば大手と言っていいと思います。

翻訳会社はソースクライアントに営業をかけ、翻訳案件を受注したら、
フリーランス翻訳者へと仕事をコーディネートします。翻訳原稿が翻訳
者から納品されたら、訳抜けや表記などのチェックを行ったあと、必要
に応じて DTP などの作業をしてからソースクライアントへ納品。その
後、ソースクライアントから代金を回収するとともに、翻訳者に対する
翻訳料金の支払いなどを行います。

以下、規模ごとに翻訳会社の特性を見てみます。あくまで傾向であり、
現実はかなりばらつきがある点に注意してください。

大手(20人超くらい)はしっかりした組織となっていることから、レー
トも翻訳者への対応も、よくも悪くも平均的という感じになると思いま
す。極端に悪いことはあまりないと思いますが、逆にとてもいいという
ケースも少なそうです。言ってみれば、よくも悪くも会社的。ビジネス
ライクで気楽というとらえ方もできるでしょう。

翻訳者にとっての魅力は、営業力があり、大量の仕事が流れていること。
分野も手広く取り扱っているので、自分が専門としている分野も取り扱
っている可能性が高いでしょう。大手のレギュラー翻訳者になれれば、
仕事が切れる心配はなくなります。ただし、登録翻訳者の数が多いため、
翻訳の力なり対応のきめ細かさなり、何か特色を打ち出さないと埋もれ
て忘れられるおそれがあります。

中小(5~20人くらい)は会社による差がかなりあります。品質重視で
丁寧な仕事をするところもあれば、安値が武器という営業中心のところ
もあります。レートも、比較的高値まであるところもあれば、安目しか
ないところもあります。会社による方向性の違いなので、翻訳者として
は、自分に適したところを探す必要があるでしょう。

分野は幅広く対応しているところが多いのですが、得意・不得意(量が
多い・少ない)があるので、自分の分野を得意としているのかどうかは
要チェックです。登録翻訳者の数は一般に大手ほど多くないので、埋も
れる危険性は大手よりも小さいかもしれません。とは言っても、レギュ
ラー翻訳者を多数、抱えているわけですから、そこに割り込むためには
一定の営業努力が求められます。

零細(1~5人くらい)は、会社による差がさらに大きくなります。品質
重視などていねいな仕事をするところは、中小以上にきっちりやるケー
スがあるからです。零細な翻訳会社というのはニッチで仕事をしている
ことが多く、分野や案件の種類は一般に限られたものとなりますが、逆
に、自分と相手の分野や案件がぴったりはまれば、とてもいいパートナ
ーとなり得ます。ただし、仕事量は振れが大きくなりやすいので、中小
や大手と並行して付き合うほうがいいかもしれません。

登録翻訳者は少ないことが多いので、埋もれてしまうことは少ないでし
ょう。ただし、全体の仕事量がそれほど多くないため、自分と同じ分野
で自分よりもいい翻訳者が現れると、そちらに仕事が行ってしまい、自
分の仕事がなくなることも考えられます。自分が担当するソースクライ
アントと零細翻訳会社との関係が切れたときも、それを代替する仕事が
なく、一気に仕事量が減る可能性もあります。
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