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■〈著者自らが語る自著〉
 「事典・イギリスの橋―英文学の背景としての橋と文化」

◆異文化の橋とその翻訳
                            三谷康之

 一般に外国文学を研究したり翻訳したりする上では当然のことである
が、単に味読し鑑賞する場合ですら、その国の文化的背景に関する知識
を必要とすることは論を俟たない。本事典はイギリスの文学および文化
の理解に必要不可欠である広範な背景的知識の中から、「橋」を取り上
げたものである。橋にはさまざまな種類があり、それがいろいろな形で
文学に登場するが、英和辞典は元より英々辞典にさえ掲載されていない
ものが少なくないのが実情である。

 例えば、'chapel bridge' がそのひとつである。
あるいは 'packhorse bridge' などはイギリス人がこよなく愛着を抱い
ているものながら、OED でも見出し語として取り扱われていない。前者
は 'chapel' の「礼拝堂」から、後者は 'packhorse' つまり「荷馬」
の意味から、それぞれの橋の姿形を推量してみたところで、まさに「掻
靴掻痒」の感を覚えるだけであろう。仮にそれらの語義の解釈に出会っ
たところで、「異文化」というものは単なることばのみの説明では、な
かなか釈然としないところが残るものである。そもそも風土や習慣のち
がいから我が国に存在しないものは、たとえ幾千語の文字で解説を試み
たとしても、そのものの持つイメージを彷彿させ得るまでには至らない
場合が少なくないからである。

 また、そのような橋梁用語の意味の問題だけにとどまることでもない。
具体的に概略すると、R. D. ブラックモアの『ローナ・ドーン』には
'crossing made by Satan for a wager'(悪魔が賭けをしてこしらえた橋)
が描かれているが 、架橋と悪魔伝説との結びつきを歴史の中に理解する
必要がある。C. ディッケンズの『大いなる遺産』では、主人公が旧ロン
ドン橋の下をボートでくぐり抜けるのに'shoot the bridge'(橋の下を矢
のように通過する) という表現が 使われているが、そういう言い回しが
流行した当時の時代背景も心得なくてならない。あるいは、T.フッドの
詩のタイトルに 'The Bridge of Sighs'(嘆きの橋)という決まり文句が
付けられているが、それは映画『哀愁』の原題が Waterloo Bridge であ
ることとも関連して、「橋」と「死」とのつながりも知るべきことになる。

そこで、古代から現代までのイギリスの橋について、建築土木学的意義
に触れつつその文化史を詳説し、それに数多くの写真やイラストを添え
た上で、詩・童謡・童話・小説・戯曲・エッセイ・紀行文など実際の文
学作品からの引用を示した事典を執筆した。取り上げた橋の種類は約40
種、固有名詞としてのそれは約100基。掲載写真とイラストは計200点。
引用した著者は48人、作品数は延べ85。


※以下のサイトで、'chapel bridge(礼拝堂橋)','packhorse bridge
(荷馬橋)','Tarr Steps(タール・ステップス)'の写真がご覧頂け
ます。

 http://www.nichigai.co.jp/translator/bridge/index.html

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