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■ 異文化の翻訳--言語以前の問題 (その4)
                         三谷 康之

3回にわたってイギリスの玄関ドアについて注意を払ってきたわけ
ですが、実はいずれもがその周辺のことに限られておりました。

このページが最終回ということですので、今度はドアそのものに目
を転じてみようと思います。

我が国の住宅建築にも洋風がかなり取り入れられるようになってき
た昨今ですが、それでもまだまだ彼の国ならではの異文化に目を引
かれるところがあるものです。

但し、余りにもよく知られた "knocker" を初め、ドアの開閉の際に、
特に押し開ける時に手の指の跡で汚れないようにするために張りつ
けた "finger [ push; hand ] plate" (指板、押板)、また中へ入る
際に靴の爪先が当たって傷つくのを防ぐためにドアの下端部に取り
つけた "kick plate" (蹴板)、あるいは我が国の「表札」に相当する
"name plate" などは別段珍しい部類にはもはや数えられないでしょ
うから、ここではひとつだけ、「郵便受け」を取り上げることにします。

「郵便受け」はアメリカ英語では "mailbox" といいますが、イギリ
スでは "letterbox" と呼ばれます。

ちがいは単語のスペルだけではありません。我が国では大体が門柱
のあたりに取りつけてあって、郵便配達人が自転車に乗ったままで
差し入れて行けるし、アメリカの場合でもやはり通例は通りに面し
たところに「箱」が出されています。

しかし、イギリスのそれは不便なことに---配達する側から見ればの
ことですが---玄関のドアにあるのです。しかも「箱」がドアの外に
ついているのではなく、ドア自体に細長い方形の穴がくり貫いてあ
るだけなのです。

その「郵便差し入れ口」は横長に設けてある場合もあれば、縦長に
なることもあります。しかも、その差し入れ口の向こう側、つまり、
ドアの内側にはそれでは「箱」があるかといいますと、むしろない
のが通例で、大抵の家ではその差し入れ口を通った手紙類は、その
まま下へ落ちて床の上に散乱することになるわけです。

映画『ジキル博士とハイド氏』のシーンでもそれは見ることができ
ます。    

結局、配達人は自転車を使うことはあっても、門前で一旦降りて、
ゲートを歩いて通って玄関に辿り着き、ようやくドアの穴から差し
入れることができるという次第なのです。

受け取り人にすれば、いちいち取りに外へ出て行かなくても済むの
で、好都合この上ないことではありますが。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以下のURLで三谷先生ご自身が撮影された、ドアにまつわるユニーク
な写真がご覧いただけます。
http://www2.neweb.ne.jp/wd/nichigai/tranradar/mitani/mitani7.html

================================================================
■ 異文化の翻訳--言語以前の問題〈前号までのおさらい〉

◆(その1)"horseshoe"(蹄鉄)
http://www2.neweb.ne.jp/wd/nichigai/tranradar/mitani/mitani4.html

◆(その2)"bell-pull" (ベル・プル)
http://www2.neweb.ne.jp/wd/nichigai/tranradar/mitani/mitani5.html

◆(その3)"door-scraper" (ドア・スクレィパー)
http://www2.neweb.ne.jp/wd/nichigai/tranradar/mitani/mitani6-1.html
http://www2.neweb.ne.jp/wd/nichigai/tranradar/mitani/mitani6-2.html


【著者紹介】
三谷康之(みたに・やすゆき)
東洋学園大学・現代経営学部教授
1941年生まれ。埼玉大学教養学部イギリス文化課程卒業。成城学園
高等学校教諭、東洋女子短期大学教授を経て、現職。1975~76年まで
〈英文学の背景〉の研究調査のため英国にてフィールド・ワーク。
1994~95年までケンブリッジ大学客員研究員

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