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■ 異文化の翻訳--言語以前の問題 (その1)
                         三谷 康之
(はじめに)
             
外国語で書かれたもの、例えば、文学作品はいうに及ばず、映画の
スクリプトでも新聞でも雑誌でも、あるいは広告のパンフレットでも
何でもそうですが、それを読んでいてどうにも困惑極まるという場合
があるものです。

何かといえば、文化のちがいから、我が国には元来存在しないもの
を表現したことばに出会った時の当惑です。

もちろん内外のあらゆる分野の辞事典類に当たってはみるものの、
写真やイラストが掲載されている事物は別としても、ことばのみの
解説では遺憾ながら釈然としないのです。

そこに説明されている語義の文言を繰り返し読むわけですが、隔靴
掻痒という成句の意味を実感するにとどまるのが関の山で、その形
状すら脳裏には浮かばない、つまり、イメージがぼんやりとも思い
描けないありさまで終わるのです。

しかも、それが何らかの辞書類に出ていればまだしものこと、見出し
語として取り上げられていない場合が存外多いときているのです。

自分が読んで理解するだけならともかくも、それを自国語に直して
まで人様に伝達しなければならないとなると、今更ながらに、あだ
やおろそかでは到底できない翻訳の苦労が忍ばれるというものでは
ありませんか。

そこで、これまでにイギリスという異文化の中で私自身が生活して
みて、これはまだ辞事典類では詳細な解説はなされていないと思われ
る事物について、写真を主にした説明を試みてみようと考えた次第
です。

いってみれば、無知なる者が未知なる文化との遭遇を通して得たわず
かばかりの情報を提供するに過ぎませんが、それがどこかで異文化
理解の一助ともなれば、望外の幸せと致します。但し、筆者に与えら
れた機会は4回ということで、先ず体系的な記述は無理と最初から
分かっていますので、極普通の住宅を1軒、それもその戸口の周辺を
外から眺めた際に目に留まる特徴、つまりは異文化について述べて
みたいと思います。

   *****   *****   *****

新年早々ということもあって、年賀状の話から始めます。
どなたもご承知の通りで、"New Year" に関する表現は旧年中に届け
られるクリスマス・カードに印されている場合 が少なくないものです。
そうしてそのカードに描かれるイラストの図柄にも、我が国のそれと
同じで定番というものがあって、そのひとつが "horseshoe"(蹄鉄)に
なります。

【写真1】スコットランドからのクリスマス・カード
http://www2.neweb.ne.jp/wd/nichigai/tranradar/mitani/mitani4.html#1

何故かといいますと、古来からの迷信で、蹄鉄は「幸運」のシンボル
だからです。"I wish you a Happy New Year." つまり、「来るべき
新年こそは幸多き年になりますように」という「祈り」のデザインに
使えるわけです。結婚式を挙げて教会を出る新郎新婦へ、あるいは何
かのパレードへ向かって、細かく切った色紙(confetti)を祝福の気持
ちを込めて投げる風習がありますが、その中に銀紙から小さく切り抜
いた蹄鉄を混ぜることがあるのも、同じ理由からです。また、「幸運」
は裏返せば「魔除け」の意味にもなることから、船乗りは難破を避け
るまじないとして、本物の蹄鉄をマストにくぎで止めたものなのです。

さてそこで、1軒の家屋と一体これがどう結びつくのかということです
が、実は、民家の玄関ドアの脇にもこれが取りつけられていることが
あるのです。戸口の片側にひとつの場合もあれば、左右両側にひとつ
ずつになったり、あるいはずらりと7つ並べて掛けてあったりします。
クリスマスの花輪(Christmas wreath)はその時節だけドアに飾られます
が、こちらはいつということはありません、年中なのです。もっとも、
幸運がこぼれ落ちないように、丸い頂部を下にしてカップの形になる
ように固定されますし、クリスマス・カードでもそのように描かれて
あります。

【写真2】白い壁面を背に金色の蹄鉄がまぶしい
http://www2.neweb.ne.jp/wd/nichigai/tranradar/mitani/mitani4.html#1

【写真3】ドアの色に合わせて白く塗った蹄鉄
【写真4】サイズの異なる7つを並べたおもしろさ
http://www2.neweb.ne.jp/wd/nichigai/tranradar/mitani/mitani4.html#2

【写真5】結婚式のサービス業会社の看板
【写真6】ドアに止めた家番号(house number:番地に同じ)入りのデザイン
http://www2.neweb.ne.jp/wd/nichigai/tranradar/mitani/mitani4.html#3

【著者紹介】
三谷康之(みたに・やすゆき)
東洋女子短期大学教授。
1975~76まで〈英文学の背景〉の研究調査のため英国にてフィールド・
ワークを行った。
現在、英国文化を解くための重要なファクターである、紅茶に関する
事典を執筆中。
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