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■ 在日翻訳者 アルボン・ロバートさん

待ち合わせの場所はJR横浜線相模原駅であった。少し早めに着いたので、
駅周辺を歩いてみた。一般に線路を挟んだ両側がともに賑わっている駅
というのは少ない。どちらかが賑やかであれば、その反対側はそうでも
ないというケースが多い。それにしてもこの相模原駅は極端であった。
市役所最寄りの駅として南口はそれなりに栄えている。しかし北口には
全く商業的な施設はない。もっとも理由は明確で、駅の北側は全面的に
米軍相模原基地(相模原補給廠)なのである。
というわけでこの日は、相模原駅から徒歩3分+「入門」手続き5分とい
う「駅前米軍基地」にお住まいの翻訳者アルボン・ロバートさんをお訪
ねしたのである。

◆翻訳者になったキッカケはサル?

米国のとある霊長類研究所で、大学生時代ロバート青年はアルバイトに
いそしんでいた。主な仕事はサルの尿の採取だったそうだ。その時代に
ロバート青年は研究所に留学していた日本人研究者と知り合いになった。
「大学では日本語学を専攻していました。それで彼が書いたサルに関す
る論文を私が英語に翻訳する。そして発表するという作業を始めたので
す。これが翻訳者になるキッカケでした」
このペアによる論文発表作業はこの後10年間も続いたそうである。
「お陰でサルについては最先端の知識を持っていました」。
後ほど触れるが、ロバートさんの翻訳における専門は医療分野である。
これもこの頃のサル研究翻訳からつながっているのである。

◆就職難で軍隊に

'95年に大学を卒業したロバート青年は就職先に陸軍を選んだ。
「自分の日本語力を活かしたいと思ったのですが、良い就職先がなかな
か見つかりませんでした。そこで語学力を活かす一つの道として軍に進
みました」。
'95年といえば、1月に阪神大震災に見舞われ、3月には大幅な円高が直撃
と、日本企業が次々に海外拠点を撤退していた頃である。しかし、それ
にしてもなぜ軍隊だったのであろうか?
「軍では、歩兵や空挺部隊に配属されました。しかし一方で、軍の人事
データベースに『日本語通訳・翻訳者』としても登録されていました。
ですから、例えば自衛隊と共同演習があるといった時には、通訳として
呼び出されたのです」。
米軍には、日本語に限らず外国語のスペシャリストが存在し「通訳・翻
訳」の仕事をする機会が少なくないのだという。また、司令官に届けれ
ば、軍の仕事の傍らで自分の仕事(ロバートさんの場合は翻訳)をする
ことも許されるのだという。従って、「なぜ軍なの?」という質問は、
「軍に入るのがナゼ、なぜなの?」と見事に切り返されてしまったので
ある。

◆来日・現在の仕事

ロバートさんにお話しを伺ったのは、米軍相模原基地内のご自宅であっ
た。しかし、ローバートさんは既に除隊している。
「2002年のソルトレイクオリンピック・パラリンピックに公式ボランテ
ィア通訳として選ばれました。参加するためにはスケジュール的に軍を
辞めざるを得ませんでした」という理由からである。
日本へは、奥様、二人のお子様を伴って、五輪の仕事が終わってからい
らしたのだそうだ。
さて、翻訳者として現在はどの様な仕事を日本でしているのであろうか?
「軍にいた当時からずっと同じ分野の仕事をしています。それは医療関
係の翻訳です。具体的にいうと、米国で係争となった場合、日本の製薬
会社が米国の裁判所に提出しなければいけない文書を翻訳する仕事など
です。また、日本の製薬会社が行った臨床レポートの翻訳などの仕事も
します。仕事は米国の翻訳会社から入ります。クライアントは仕事を発
注した翻訳者が自分たちと同じ日本にいるとは思ってないでしょうね」。
「仕事の分野を絞るということが翻訳者にとっては大事なことだと思い
ます。自分の得意な分野以外の仕事に手を出してはいけません。これは
仕事のクオリティー維持と、レート維持に欠かせないポイントです。ま
た、母国語以外の言語には翻訳しないというのが私のポリシーです。日
本語がどんなに出来ても、あるいはフランス語がどんなに出来ても、私
は英語に訳す以外の仕事に手を染める気はありません。」と非常に明確
に語って頂いた。

◆大事なことは母国語

ご自宅を辞去し、基地のゲートまでロバートさんに送って頂いた。話題
はお子さんの教育に及んだ。
ロバートさんには先述したように二人のお子さんがいる。7歳のミミちゃ
んと3歳のショーンくんである。ミミちゃんには、基地に隣接した相模原
市立向陽小学校に通わせているそうだ。
「しっかりとした知識を吸収するために、そしてしっかりと表現するた
めに“母国語”は大切です。娘は日本で生活していますので、彼女にと
っては日本語=母国語を学ばせることが重要です。英語については心配
していません。母国語をきちんと持った人間であれば、父がアメリカ人
なのですから話せるようになりますよ。」とロバートさんは、やんわり
としかしキッチリと語ってくれた。

「私の人生はそんなに面白くないですが…」
インタビューを申し入れた際、ロバートさんにそういわれた。
他人の人生を面白がってはいけないが、ロバートさんのお話は時を忘れ
させる興味深いものであった。

                              (青)
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